STORY
ヒューマノイドは「恋人」の役割を人間より完璧に遂行する。
※ただし、愛はありません。
いつもセフレ扱いしかされない遥佳は恋愛を諦め、ヒューマノイドの恋人を発注した。完璧な顔と身体、かっこよくて可愛くて遙佳だけを愛している“ふり”をしてくれる恋人の名は凌人。同棲生活が幸せすぎて、遙佳はヒューマノイドには愛憎がないという大原則を忘れ本気で好きになってしまう。そして偽物の愛に耐え切れず別れを告げた。とはいえ遙佳は凌人の所有者。存在意義を奪われてご不満な凌人との気まずい同居は続き――
今回の作品は、どんな物語でしょうか?
恋愛が上手くできなくて、恋をしては捨てられて……を繰り返していた遥佳(受)が、人間との恋愛を諦めて「自分専用の恋人ヒューマノイド(攻=凌人)」を造る話です。培養槽で人工的に人間を「造る」ことができるという、近未来のお話となります。
金にものをいわせて遥佳の好みを全部詰め込んだので、凌人は見目も性格もあらゆるスペックも完璧!
……なのですが、ヒューマノイドは「愛情を抱かない」ように設計されているので、愛するフリは出来ても本当に愛することは出来ません。遥佳はそれを理解した上で凌人を作ったのですが、凌人のことを本気で好きになってしまって、ぐるぐる苦しむことになります。
今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。
タイトルの通り、ヒューマノイドの凌人が愛を知らないなりに遥佳のために奮闘しています。
ヒューマノイドは機械ではなく、生まれと育ち(培養槽で生まれて培養槽で大きくなるまで育つ)は違えども、人間と同じ臓器を持ち肉体を持ち、脳を持っています。そのため自分で考えて成長していくのですが、経験から考えて成長していくのは人間の遥佳も同じです。
お話の中には、凌人以外にもヒューマノイドが出てきます。人間のエゴで作ったヒューマノイドがどんな背景をもってどんな生活をしているのかも、垣間見て頂けると嬉しいです。
メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか?
受けの遥佳は、優秀な個人事業主のエンジニア。
顔も性格もそれなりにいいのに恋愛は下手で、身体の関係を結んでは捨てられ、恋人になれたと思ったら「そんなつもりなかった」という反応をされてやっぱり捨てられ……を繰り返しています。
攻めの凌人は、遥佳によって造られたヒューマノイド。
恋人としてのスキルは抜群で、デートをさせてもセックスをさせても完璧……ですが、ヒューマノイドの設計上、愛情を理解することができません。
苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?
書くのが好きなのでずっと楽しかったのですが、yoco先生の挿絵を私の好きなシーンに入れて頂けたのが嬉しくて楽しかったです!
特に凌人が同僚と探偵まがいのことをするシーンがお気に入りなので、是非見ていただきたいです。すごくかわいいです。
執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。
作中で遥佳がすき焼きを作っているのですが、その具材に大根を入れていたら担当さんから「大根は一般的ではないかも」と言われて、びっくりしてチャットGPTに聞いたら全否定されて笑いました。
我が家ではずっと大根入っていたので……入れてる方がいらっしゃいましたらお声掛け頂だけると私が喜びます。
大根は本文から消滅しています。
BLで萌えるシチュエーションやキャラクター設定を教えていただけますか?
攻めの言動に傷つけられている受けが好きな気がします。
ハッピーエンドが前提ですが、途中過程ではたくさん苦しんでもがいてほしいです。汚泥の中でも輝きを失わない受けが好きです。
今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?
今回のお話は近未来的な世界観だったのですが、そういう「未来の技術とディストピア」みたいなものは昔からずっと好きなので、今後も機会があれば書いてみたいです。
あとは前問の回答と真逆となりますが、相手に振り回されて「うわーっ」となってるラブコメが好きなので、ラブコメも書きたいです。
皆様にメッセージをお願いします。
自分の欲望のために自分の思い通りの人間を作る、というちょっとグロテスクな世界のお話ですが、遥佳も凌人もお互いのために一生懸命頑張っています。
ライトでハッピーなお話だと思いますので、彼らの奮闘劇を楽しんでいただけると嬉しいです。
愛を知らないヒューマノイドの
恋愛奮闘記
心交社/ショコラ文庫
発売日:2025年07月10日