『荒くれ竜が言うことを聞かない』発売記念 遠間千早先生インタビューページ

インタビュー

今回のルビーファンタジーBL大賞に応募したいきさつを教えてください。

たまたまSNSで流れてきた告知を見て、ファンタジーに特化したコンテストは珍しいなと思ったのでカクヨムに登録して応募することにしました。第一回ということで色んなファンタジー作品が集まっていて読者としてもとても楽しめました。このコンテストがきっかけで本作を知ってくださった方がたくさんいらっしゃったので、貴重なご縁をいただけました。

受賞のご連絡が来た時のお気持ちは?

ん? 本当に? という気持ちでした(笑)。もともと別の投稿サイトに出していた作品だったということもあり、そんなに順位も高くなかったので……。拾い上げて評価してくださった編集部の皆様に感謝です。

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

千早という名前は以前から使っていた名前で、百人一首の在原業平が好きだったので「ちはやふる」からもらいました。遠間の方は、閻魔様が由来です。何か名字つけるか……と思っていたときに、「えんま様」と呼ばれる日がいつか来たら面白いだろうなと、軽率に決めました。この名前で世に出ることになるとは想定していなかったのですが、結構気に入っています。

『荒くれ竜が言うことを聞かない』は、どんな物語でしょうか?

簡潔にまとめると、犬猿の仲の軍人二人がすったもんだの末にお互いを認め合ってケンカップルになるという話です。最初、受けのリアンと攻めのヴァルハルトはとんでもなく仲が悪いのですが、ある日アクシデントで一夜を共にしてしまい、それからお互いを意識しだして拗れます。そうこうするうちに軍部の中でも事件が起こり、リアンが行方不明になったりヴァルハルトが慌てたりするという、作者の趣味とケンカップルの美味しさが詰まった話です。

今作は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

ケンカップルってエモいな? と、ある日突然思い立ったことに端を発します。
現代ものだと、会社におけるライバルとか、学校で成績を競い合う同級生とか、日常の中にいるカップルになると思うのですが、そのとき私はどうしても物理的に殴り合う二人の話が読みたかったんです。現代ものでボコボコに殴り合うとちょっと事件になってしまうので、それならファンタジーだと、そして軍人なら許されるだろうと、欲望の赴くままにケンカップルに思いをはせた結果、生まれました。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

やっぱりケンカップルということで、最初は大嫌いだった相手にだんだん惹かれていくリアンの変化を楽しんでいただければと思います。クール受けのツンデレ具合もいい塩梅だったなと思っていただけたら嬉しいです。
好きなシーンは月夜にヴァルハルトがリアンを探しに来る場面と、海の中でキスするシーンです。秋吉先生にすごく素敵な挿絵を描いていただいたので、ぜひじっくりご覧になってください。

今作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか? また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

攻めのヴァルハルトは自由奔放な俺様攻めなので、リアンが手を焼く、という二人の関係性をタイトルで表したくてこうなりました。とはいえ、だからといってリアンがヴァルハルトに譲歩するということはないので、言うことを聞かないのはどっちだよ、とヴァルハルトは思っていると思います。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。 (名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです)

お互いに遠慮しないケンカップルを書きたかったので、受けはクール受け(喧嘩は買うタイプ)で、攻めは野蛮なタイプが一番合うなと思い、二人の性格が定まりました。それに普段クールな受けがベッドの中で乱れるのってロマンじゃないですか……。
本作を既読の方はお気づきだと思うのですが、飛竜の一族は名前に「リ」がついて、海竜の一族は名前に「ヴ」がつきます。直系はそうと決めたらわかりやすくていいかなと思った次第です。

メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか?

受けのリアンは、ストイックで頑固な負けず嫌いです。高潔さを重んじる飛竜の一族の中で厳しく育てられたこともあり、自分の感情を外に出すことが苦手です。でも内心では国を守ることに対して熱い使命感と誇りを持っています。
攻めのヴァルハルトは口が悪くて喧嘩っ早いので、周囲からいい加減な気分屋だと思われがちですが、彼は彼で自分の中に揺るぎない信念を持っています。最初は全くそりが合わない二人が、お互いの中に共通するものを見出していくところを楽しんでいただければ嬉しいです。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

苦労したところは実は結構ありまして、軍人を書くのが初めてだったこともあり、用語や階級などが全然わからなくてずっと調べていました。そして軍ものをあまり読まないという方にわかりやすく説明するにはどうしたらいいのか、かなり悩んでいました。結果として色々と勉強になり、キャラ達に格好いい軍服を着てもらうこともできたのでよかったと思います。
楽しかった点はリアンとヴァルハルトの掛け合いです。今まで書いた話に口の悪い攻めがいなかったので、二人が揉めてる会話を書くのはとても楽しかったです。自分に向いているジャンルかもしれないと思いました(笑)。

お気に入りのキャラクターや描き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

お気に入りのキャラクターは、爺さんズです。主役二人の脇で強烈な存在感を放っているのですが、完全に作者の趣味です。でも時々主役二人よりも気になりますという声も聞こえてくるので、作者はとても喜んでいます。秋吉先生に描いていただいた人物紹介がイケオジ写真集になっているので、おじさんをいっぱい出してよかったなと思いました。

執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。

今回、ウェブで掲載していた本編のほかに、書き下ろしで後日談を書かせていただきました。
もともとは最後の灯台のシーンが頭の中にあったのですが、そこに至るまでのエピソードをやろうと思えば書けるな…と思い立ち、担当さんにページ数を確認しました。150ページくらいいける、と聞いてしまったので、そこから猛烈なスピードで書きました。この二人のエピソードを世に出せるのこれで最後だから! という気持ちでやってしまいました。校正さん含め、関係者の皆様に感謝いたします。女王様プレイまでお許しいただいて……。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

いつになるかはわからないのですが、今回登場した地竜と海竜のカップルの話とか、爺さんズの話はいつか書きたいなと思っています。時が来たらまた読んでいただけると嬉しいです。

読者様にメッセージをお願いします。

遠間千早と申します。第一回ルビーファンタジーBL小説大賞で優秀賞をいただき、本作を書籍化していただきました。
ウェブ版をお読みいただいた方には改稿してパワーアップした二人を、初めてお手に取ってくださった方にはぜひ軍人ケンカップルのファンタジーBLを楽しんでいただければ幸いです。
このたびは素敵なご縁をいただきまして、ありがとうございました。
どうぞよろしくお願いいたします。

荒くれ竜が言うことを聞かない

著者: 遠間千早 イラスト: 秋吉しま

KADOKAWA(角川書店)/ルビーコレクション

発売日:2025年10月01日

書影

STORY

海軍将校×空軍将校 ケンカップルBL!

合えば殴り合いの喧嘩に発展する海竜ち飛竜は予期せぬ出来事をきっかけにカラダの関係を持ってしまい…?

第1回ルビーファンタジーBL小説大賞
優秀賞 受賞作!!

飛竜のリアンと海竜のヴァルハルトは、共に王国を守護する空軍と海軍の双翼として名を馳せる誇り高い竜の一族である。だが、真面目なリアンと奔放なヴァルハルトの相性は最悪で、会えば殴り合いに発展するほど険悪であった。しかし、飛竜の力が弱まる新月の夜に、リアンは弾みでヴァルハルトと一夜を共にしてしまう。以来、リアンに対するヴァルハルトの様子がおかしい。不幸な事故と割り切ろうとするリアンだったが、合同演習で海軍の軍艦に訪れた際、思いがけず真摯に仕事をこなすヴァルハルトに、徐々に気持ちに変化が生じ…?

特典情報

有償特典

コミコミ特典SS小冊子

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※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

ⓒChihaya Enma 2025 イラスト/秋吉しま

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