元々もふもふ属性が好きなので、ポメガバースにも大変興味がありX（旧Twitter）でもそもそと妄想を呟いておりました。そうしたところ編集さんに「ポメガバース書きませんか？」と仰っていただき、呟きの中から「こっ、こっ、これを書きたいのですが…！」とネタ出しをしたところ、OKをいただけた、という流れです。

私がタイトル案を出し、編集さんにチェック＆改善案を出していただき、ブラッシュアップされて現在のタイトルが生まれました。「わん」という犬っぽい可愛らしさと「キス」というキュン要素が合体したタイトル、とてもお気に入りです。

「犬化症候群」という病がある世界、ポメラニアンに変身できる主人公の碧はデリポメ（デリバリーポメラニアン）でバイト中。そんな碧を極秘指名をしてきたのは、なんと、今をときめくスーパーアイドル高遠ハヤテで…？　というお話しです。
元々高遠のファンな碧は仕事中にも関わらず犬から人間の姿に戻ってしまって高遠に平謝り、のち逃亡。もう金輪際関わることはあるまいと落ち込んでいたのですが、高遠からまさかの再指名をもらってしまって…、という感じで進んでいく犬系変身ラブコメディです。

谷敷碧：ポメラニアンに変身する男子大学生です。名前は、作中でも出てくるのですが「海の色」からつけました。海辺の街出身で、本人も海や魚が大好き。海洋系の学部で学んでいます。年の離れた姉の影響で、アイドルが大好きです。特にスパメテ（SuperMeteor）というアイドルグループの「高遠ハヤテ」に夢中で……、というキャラクターです。
なにかというとぽひゅぽひゅ犬化してしまう、一途で一生懸命な犬系男子です。
高遠颯：高遠ハヤテという芸名で活動するアイドルです。ヴィジュアルつよつよ顔面最強男子で、ファンには「歩く美術品」「美と美のハイブリッド」「目から摂取する栄養」と言われています。本人は自分の容姿に頓着しておらず、ファンサも基本的に塩。唯一満面の笑みを向けるのは、アオ（碧のバイト用源氏名）で…という、とがった性格をしています。
クールに見えて意外な情熱を秘めたアイドル系男子です。

碧：「犬化症候群」という病を患ったがゆえに、感情の高ぶりにともなって犬に変化してしまうという特異体質になってしまった青年です。人間姿の時は真面目な性格ですが、犬化するとついつい獣性に引っ張られてしまいます。そんな時は、ドッグランではふはふ言いながら走ったり、攻めである高遠と犬用おもちゃで遊んだりしています。過去の体験から時に臆病になったり、悩んだり、落ち込んだりもしますが、自分なりに乗り越えていこうとする前向きで努力家な一面もあります。
高遠：なんの悩みもなさそうな顔面最強クールアイドルですが、実はひそかに悩んだり、迷ったりもしています。が、その何もかもが顔に出にくいので、よく誤解されてしまいます。何事にも執着がなさそうに見えて、意外と執念深く、諦め悪く、好きなものはとことん追いかけるオタク気質です。

私の場合、プロットは元々すべてを書くというより、物語の要所要所を書いているだけなので、書き進める程にどうしても変化していきます。編集さんには本当に申し訳ないのですが、これまでにプロット通りに話が進んだ試しがありません。
逆にキャラクターは執筆開始時点でかなり作り込んでいるので、あまりぶれません。キャラクターの性格や好きなもの、嫌いなもの、良い所悪い所どうしても譲れないものなど細かに決めておくと、その後どんなストーリーになっても迷わず動いてくれるので書きやすいです。

今作はポメガバースなので、特に碧の容姿（犬ver）の描写にこだわりました。もふもふの毛に埋もれがちな耳、しまい忘れた舌、ふわっふわの胸毛、くるんと巻いた上向き尻尾、ちゃかちゃか歩く小さな脚。その他、一生懸命ドッグランを駆ける姿、強風の中風に立ち向かう姿、ごろんと寝転んで前脚を折り曲げ眠る姿等々、楽しんで書かせていただきました。読んでいる方にもそんな碧の姿を楽しんでいただけたら嬉しいです。

最近、掃除動画を見るのにはまっています。部屋が綺麗に片付いていく様子を見てすっきりして、その後自分の部屋を見まわして溜め息を吐くところまでがワンセットです。

人間の常識が通じない人外と人間の常識にとらわれた人間の、歪な純愛物語が書きたいです。人外ものが書きたいです。

「わんと鳴いたらキスして撫でて」はずっと書きたかったポメガバース設定の作品になります。今回こうやって執筆の機会をいただけて、本当に嬉しくありがたい限りです。 気持ちが高ぶるとポメになってしまう青年碧と、ビジュアルつよつよ顔面最強のアイドル高遠との、わんわんポメガバ物語、少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。 最後までインタビューにお付き合いいただきありがとうございました。