『若い男に恋をするおっさん騎士の話』発売記念 伊川伊織先生インタビューページ

帯入れ込みイメージ

インタビュー

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

初めのペンネームはIO(イオ)だけで、それはADOさんみたいでかっこいい!と思ってつけたのですが、後でやっぱりフルネームが欲しくなって、それでIOで伊織になりました。名字と名前の音がかぶっているのが好きなので(ウィリアム・ウィルズのように)、それで伊川伊織になりました。

新作『若い男に恋をするおっさん騎士の話』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

戦争帰りでくたびれたおっさんが、若くて美しい男を遠くから眩しそうに見つめていたら、かわいくていじらしいと思って想像していたら、どんどん細部が出来上がって物語になりました。

新作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか? また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

内容そのまんまです。自分をおっさんだと思っている騎士が、若い男に恋をしてしまう。途中から若い男のほうが強火でおっさん騎士に恋をしてしまっているのですが、おっさん騎士のほうにはその自覚があまりないので、やっぱりそのまんまという感じです。

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

先に内容を考えて書き始めて、しばらく書いてからタイトルを考えます。

新作『若い男に恋をするおっさん騎士の話』は、どんな物語でしょうか?

リシャール・アイルという本人に自覚がない救国の英雄のことを、周囲の人間がみんなでよってたかって幸せにする話だと思っています。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

リシャールがウィリアムの髪を持って逃げたあと、「髪を返してください」と言われたとき、いやいやして返さないところと、今回書き下ろした部分にある、リシャールが猫にたかられて猫まみれになるところがお気に入りのシーンです。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
(名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです)

リシャールは、戦争帰りのくたびれた青年(自称おっさん)が、若い男性に見惚れているところから始まり、そこからどんな人なのだろうという細部が出来上がりました。「信頼できない語り手」であることは初めから意識していたので、本編一人称の時からうっすらわかるように描いたつもりです。あまりにも長く戦場で戦ったため、いろんなものを失っているのですが、本人にはその自覚はなく、至ってのんきに過ごしています。リシャールという名前は、若くて美しい男性に連呼させる予定だったので、響きが綺麗で甘い感じにするつもりでつけました。ウィリアムはリシャールのために存在するキャラクターで、リシャールを幸せにできるのはどんな人物なのかを考えたら、おのずとウィリアムのあのキャラクターになりました。名前は、王子様っぽい名前にしようと思って、そのまんまイギリス王室の王子様からもらいました。

メインカップルのご紹介と彼らを描く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

リシャール・アイルは素朴で明るい、いろんなことに楽しみを見出す性格の人で、ちょっと単純です。自分についての認識が事実とかなりずれているのですが、それには全く気が付かず、ウィリアムを心配させています。ウィリアム・ウィルズは傲岸不遜で自分勝手な変人なのですが、それだからこそ、身を引こう引こうとするリシャールをとっ捕まえて、囲い込んで幸せにできる人です。二人は年の差がありますし、ウィリアムはリシャールのことを非常に尊敬し尊重しているので、いつもリシャールに怒っていますけれども、リシャールには常に丁寧語で接し、リシャールがどんなにおかしなことをしても、否定せずにすべてを受け入れます。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

本編ではリシャールに振り回されているウィリアムが、番外編を読むと周囲の人間をものすごく振り回している。そして書き下ろしの続編ではさらにリシャールに振り回されている。という人間関係を書くのがとても楽しかったです。

伊川伊織先生の中で、執筆を重ねるうちにキャラクターやプロットに変化や発見がありましたか?

書いている間にキャラクターの人格が出来上がってくるので、そうなると予定していた通りに話が進まなくなることがあります。自分で書いていても、人格が出来上がると矛盾のある行動を無理やりさせることができないので、そうなると話の方が変わっていきます。リシャールはいい大人ですし、戦場でいろんなことを経験しているので、うぶで呑気なようでいて実際は結構エロい。ウィリアムは血気盛んで不遜な性格ですけれども、実際は若くて恋愛ごとには興味がなかったのと、公爵家のお坊ちゃんなので、意外に真面目だったりします。

お気に入りのキャラクターや描き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

書きやすい、書きにくいという違いはないです。お気に入りのキャラクターは国王様で、かなりの苦労人のはずなのにひょうひょうとしていて気さくな人だと思っています。わりと若くして即位して、それから戦争が始まってしまって、治世の半分以上が戦時中でかなり苦労しました。王妃様は祖国が滅ぼされてしまって心を病んでしまうし、末娘はわがまま放題に育ってしまって。でもリシャールが戦争を終わらせてくれて、王妃様も少しずつ回復し、心配の種だった末娘も信頼できる相手と結婚して幸せになってくれたので、国王様はリシャールとウィリアムに心から感謝をしているのだろうと思うと、国王様の物語ができそうなくらいです。

執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。

今年はお正月休みが長かったのです。通常5日くらいしかないのですが、9日間もあって、それで書いたのがこの物語です。お休みは大切だと思いました。年末年始にかけてひたすら書き続けて、とても楽しかったです。

癒しのアイテムや気分転換の方法、またハマっていることなどがおありですか?

今年にはいってから初めてエックスを使い始めたので、それでいろんな人と交流するのを楽しんでいます。日本中に優しくて面白い人がいっぱいいて、エックス上でおしゃべりできるので、それで時間を忘れて話し込んだりしています。小説の話もよくしていて、そこから物語が生まれたりもして、とても楽しいです。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

絶対にハッピーエンドにすると決めています。だいたい何らかの理由でつらい思いをしていたり、あんまり幸せではなかったりする人が、脳内にやってくるので、その人を幸せにしてくれる人を探して、後は全力で幸せにします。そしてその幸せにする側も、その関係で満たされるものがあり、お互い幸せになる。関係性としては対等で、お互いに自分が幸せにしてもらっていると思っている関係にできたらと思っています。

読者様にメッセージをお願いします。

いつも読んでくださってありがとうございます。自分が読みたい物語を読むために書き始めたのが小説を書くきっかけでしたが、私の好きな物語を好きだと言って読んでくださる大勢の方々のおかげで、「若い男に恋をするおっさん騎士の話」を素敵な本にしてもらうことができました。そして本になるので張り切って続編を書いたら、もっと素敵な話にできたので、とても嬉しいです。今後もいろんな物語を書いていきたいと思っていますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。

若い男に恋をする
おっさん騎士の話

著者:伊川伊織
イラスト: 宇良たまじ

リブレ/B-BOY NOVELS

発売日:2025年10月17日

書影

STORY

俺は戦場で死に損なったけれど、彼に愛されて、
心が満ちていく──

俺は戦争で死に損なったおっさん騎士だ。
みんなは俺を救国の英雄と呼ぶけれど、右足を負傷して動かせなくなってしまったから、今は見習い騎士の訓練施設で教官をしている。
綺麗な自然を見るのが好きだった。でも長く歩けず、馬にも乗れない。滝も湖も、もう見に行くことはできない。
だから俺の唯一の楽しみは、太陽のような黄金の髪と海のような青い瞳を持つ見習い騎士・ウィリアムを見つめることだけだった。
────けれど、ある日。
彼が強いまなざしでまっすぐに俺を見返し、その優しい手に触れられた瞬間、止まっていた世界が静かに動き出した。
これは、終わったはずの人生で出会った初めての恋の物語だ。
見習い騎士×教官、救いと癒しの溺愛ストーリー。

特典情報

コミコミ特典伊川伊織先生SS小冊子

SS小冊子

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※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

©︎伊川伊織/宇良たまじ/libre

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