『この美しい愛を捧げたい』発売記念 華藤えれな先生特設ページ

この美しい愛を捧げたい~王とオメガと王子の物語~ この美しい愛を捧げたい ~王とオメガと王子の物語~この美しい愛を捧げたい ~王とオメガと王子の物語~

インタビュー

25周年おめでとうございます!
25年を振り返って印象的な出来事と今のお気持ちをお聞かせください。

ありがとうございます。一度雑誌に載せていただけたら嬉しい、一冊本が出せたら嬉しい……そんな気持ちで続けているうちに気がつけば四半世紀経っていてびっくりしています。
印象的な出来事は、デビュー10年目に作家としての最大の危機があったことです。犬がいなかったらがんばれなかったかもしれない。
細々と業界のすみっこにぶら下がった感じでここまできました。読んでいただけていることに感謝しかないです。歳月を重ねれば重ねるほど書きたいものが増え、今も毎日のように内側からあふれているので、今後も少しずつでもそれを形にしていければと思っています。

デビューのきっかけや心に残っておられる作品を教えてください。

デビューのきっかけは投稿です。
大学時代に小さな一般の小説コンクールに初投稿し、佳作をいただき、卒業後、ある雑誌とライター契約したのですが、よりによってその二時間後くらいに交通事故で全治半年以上の怪我をして失業。お仕事は別の方に。とりあえず働ける場所に就職し、推し活したり短期留学したり……何がしたいのかわからないまま漠然と未来に不安を感じながら過ごしていました。
転機となったのは短期留学中にヴェネツィアを放浪していた時、急に小説を書きたい熱が湧き、情熱のまま速攻で帰国。ちょうど京都に遊びにこられていたB L作家の先生に当時書いていた短編をチラ見していただいたところ、「B L小説に投稿してみたら?」とおすすめされ、その帰りに、小説エクリプス(小説リンクスの前身)と小説B-boyを購入し拝読して投稿を。エクリプスでは期待賞に、B-boyでは最終候補に。その後、編集の方から直接お電話いただいたエクリプスでデビューすることが決まりました。
心に残る作品は、やはりスレイヴァーズシリーズです。デビューして三年、これがダメだったら一からやり直そうと思っていたので、こうして今もこのPNでずっとお仕事を続けているのは、この作品のおかげです。未熟なところ、あり得ないと突っ込みたいところ等々、たくさんありますが、それでも当時としてはちょっと冒険だったこの設定のプロットを出した時、背中を押しながら力強く導いて下さった担当さんには今も心から感謝しております。

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

プロットです。たまにタイトルが先に浮かぶこともありますが、プロット、初稿、改稿のあとくらいにタイトルを考えることが多いです。

『この美しい愛を捧げたい ~王とオメガと王子の物語~』は、どんな物語でしょうか?
世界観などもあわせて、ご紹介お願いします!

愛しているからこそ言えないことがある、愛しているのにつかめない真実がある。 自分の見えているものと、見えていないもの。
それをどう乗り越えていくのか。
そのあたりが話のベースになっています。
お話は、東欧のブルガリア・ルーマニア・モルドバあたりの黒海周辺の国々をイメージモデルにして創ったファンタジーです。 薔薇の香りがあふれる村で、ハーブ、ヨーグルト、ふわふわのクレープを出すカフェを営む主人公のニコは、ちょっとわけがあってミカリスという赤ん坊を育てています。そこのバイトに応募してきたレヴァンというアルファとニコが恋に堕ちるお話ですが、実は、レヴァンは王族で、ニコには隠している秘密があって……という感じでお話が始まります。ちょっと変化球オメガバースです。ネタバレなのでこれ以上は書きませんが、ハッピーエンド目指して、ニコとレヴァンそれぞれががんばるお話です。
赤ん坊ミカリス視点の小冊子も一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

読みどころは、家族愛です。
ニコとレヴァンとミカリスの三人は、擬似家族なのですが、一緒に暮らす上で芽生えてくる二人の愛、そして父性と母性というものが今回の読みどころかなと思っています。
好きなシーンは、受のニコの入浴を覗いている不埒な輩を攻のレヴァンが追っ払うシーンです。そのあと、自分も覗き魔になっていますが。
あと、森で蛇と遭遇したあと、立てなくなるシーンです。不器用で一途な男がヘタれているところ、ぜひ作中で確かめてください。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
(名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです)

先に八千代ハル先生の絵のイメージで主役三人のビジュアルが浮かび上がり、そこから自然にキャラクターの実像ができあがった感じです。名前もその時に自然に響きが出来上がって。カタカナなので、ニコ、レヴァン、ミカリス の三人の名前の響きが紛らわしくないようには気をつけました。
あと国名も。当初、悪役がモロゾフという名前でしたが、国名がモルダヴィアなので自分でも混乱しそうになって、最後に違う名前に変えました。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

実は読むのはいいのですが、ファンタジーを書くのが昔からとても苦手なので、今回も、架空の国、オメガバースという架空の設定に四苦八苦で、執筆中、自己嫌悪に陥って、担当さんに無理ですというLINEを何度も送りました。苦肉の策としてイメージモデルの国を用意したので、今回は何とか乗り切れたかなという感じです。
楽しかったのは攻のレヴァン視点全般です。お風呂覗き、腰抜かし、嫉妬、誤解、後悔等々、嬉々として楽しく書いたので楽しく読んでくださいね。

華藤えれな先生の中で、書き進めるうちにキャラクターやプロットに変化や発見がありましたか?

本作を含め、どの作品も毎回変化します。
書いている時、キャラが憑依して、キャラの感情に従っているため、プロットや事務的な約束事のすべてが完全に頭から消えています。作中での出来事によってキャラが勝手に成長し、勝手に動いていることも。今回は攻視点のなかに途中で加えたシーンや設定がたくさん混ざっています。特に最終稿のときは完全にキャラが乗り移っているので、それ以外のことは全てどうでもよくて、あとで後悔するような約束をしたり普段の自分なら絶対に買わないものを買っていたり意味不明な時期があります。こんな状態で大丈夫かと不安も多いのですが、不思議なことに終わったとき、毎回、ちゃんと最初にプロットで決めたゴールに到着しているので、まあ、いいかと思っています。

お気に入りの登場人物、書き(動かし)やすい、または思い通りにならないなどキャラクターで違いがありますか?

お気に入りの登場人物は、脇役で出てくるオメガのパーシャです。攻のレヴァンにちょっかいを出しているようで、最終的にはレヴァンより活躍している気がしないでも。
動かしやすいキャラクターは攻のレヴァンです。好きが高じて変態になるキャラはとても動かしやすいです。
今回、思い通りにならないキャラはいなかったのですが、受のニコは天使な性格なのでなかなか書くのが大変でした。

本作品は、「薔薇の谷」のカフェで展開されるオメガバースの物語ですが、新たな世界を創作される上で、意識されていることがありますか?

新たなお話を創作するとき、自分的最優先事項は、行きたい場所、行った場所、愛することができる場所にすることです。そこから次々と物語が浮かんできます。情けないことにそうでないと、頭が真っ白で何も浮かばないんです……。『薔薇の谷』はブルガリアの地方都市をイメージしていますが、ファンタジー設定にしたのでリアル設定よりは難しかったです。その代わり、今回は思い切って、時代考証や宗教や日本語英語もいつもよりゆるめにして、作品の空気感を重視しました。

癒しのアイテムや気分転換の方法、またハマっていることなどがおありですか?

以前はワンコともふもふすることが癒しでしたが、全員、寿命を迎えて旅立ってしまったので、今は原稿を書くことが1番の癒しとなっています。
気分転換は1.5か2倍速で映画やドラマやドキュメンタリーを見ることです。ホラー、動物、サバイバル、パンデミック等々、ゆったり標準速度で見るものとはまた別に。最近ハマっているのは宝塚です。昔も時々見ていたのですが、今はワンコが旅立ったあとの心の穴を埋めています。

たくさんの作品を世に送り出されている華藤えれな先生ですが、作品を作りあげる上で大切にされていることや心がけておられることはありますか?

毎回どの作品もデビューの時と同じ気持ち、初心に戻って取り組もうと思っています。その反面、前作よりも何か少しでも進化しなければと自分に課題を課すようにしています。

既に多くのジャンルでたくさんの素敵な作品書いておられるのですが、25周年を迎えられて、これからチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

はい。チャレンジしたいことがたくさんあるので少しずつ挑戦をしているところです。25年の間に分岐点のようなところがいくつかあったのですが、今、またその時期に差し掛かっている気がするのでいい感じに成長できたら……。

読者様にメッセージをお願いします。

25年も続けてこられたのは、ひとえに皆様が読んでくださっているからです。ありがとうございます。
楽しかった、よかったと思っていただける作品になっていれば嬉しいのですが、これからも少しでもお心に残るようなお話作りを目標に励んでいきますので、どうぞよろしくお願いします。

この美しい愛を捧げたい~王とオメガと王子の物語~

華藤えれな

イラスト:八千代ハル

笠倉出版社/CROSS NOVELS

発売日:2022年10月07日

この美しい愛を捧げたい ~王とオメガと王子の物語~

STORY

おれときみと子ども
これは世界一美しい家族の愛

ふわふわクレープとローズティーが評判のカフェを営み、幼子・ミカリスを独りで育てるニコ。新たに従業員を募集すると、隣国の戦争で負傷したレヴァンが応募してくる。
何と彼は公爵でαだった。
そんな人を雇えないと戸惑うニコだが、平和を願う彼に共感し、住み込みで手伝ってもらうことに。
彼は身分をひけらかすことなく二人を助け守り、いつしかミカリスも彼をパパと慕い、ニコも愛を抱くように。
やがて彼から伴侶にと強く求められる。けれどニコには許されない秘密が──。

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©️華藤えれな/八千代ハル/笠倉出版社

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