STORY
竜騎士を目指すスキル持ちの転生者×竜に恨みを持つ問題児
『竜の守護者』として将来を期待された転生者のベルランは、竜に選ばれ突如竜騎士を目指すことに!
帝都の上級学院の騎士学科に編入するが、ある事情から竜を粗末に扱う同室のリリオーネと早々に喧嘩勃発!?
今回のルビーファンタジーBL大賞に応募したいきさつを教えてください。
数年前から小説投稿サイトを利用しはじめたのですが、当時(今もですが)某CMのように『投稿したらイイねの嵐!』……には当然ならず(笑)。まったく読まれず悩んでいた頃に、ふらっと行きついたのがカクヨムでした。
ですが、そこでも投稿しても(当然ですが)すぐに埋もれてしまって……。
そんなとき、投稿画面で『第1回ルビーファンタジーBL小説大賞』のバナーがチラチラと見え始め、すごく気になりながらも、応募期間内には書けないだろうと最初はあきらめていました。
ところが、応募作品の増え方が思ったよりゆるやかで、「もしかして今投稿したら、あの憧れのコンテストランキング『1ページ目』に自分の作品が載るんじゃね?」という、ほとんど勢いでの参加でした(笑)。
完結が条件でしたが、文字制限が30万字と長編向きだったのも参加への後押しになりました。
とにかく『カク!』
結果的にこの判断は、我が人生の中でもトップクラスの『神決断』だったと思っています。
受賞のご連絡が来た時のお気持ちは?
実は……スマホにかかってきたのですが、間に合わず留守電につながってしまい、編集部の方がメッセージを残されているのをリアルタイムで読んで(テキスト起こし機能があるのをそのとき初めて知って、とても驚きました)
「これはもしかして……?」と、ちょびっとだけ期待しながら、すぐに折り返し電話しました。
実際に会話がはじまると、もうびっくりしてしまって……正直なところ何を言われたのかよく覚えていません。「4月1日にはまだ早いよな?」と。
そして、自分がなにを言っていいのかもわからず、ただオロオロするばかりで……。(大人の女性として、エレガントに対応できたのか不安が残っています)
覚えていることといえば、電話中ずっとリビングテーブルのまわりをぐるぐる歩き回っていたこと。
そして、長いタイトルをとぎれとぎれに、ペンネームをどもりながら話される編集者さんに、申し訳なさでいっぱいになったことです。
もっと短いタイトルと、もう少しカッコいいペンネームにしておけばよかった、と心から思いました。
あと、本名を名乗ったはずなのに、ペンネームで返された瞬間に『ああ、そういう世界なんだ……』と。ふざけたペンネームはよくないと痛感しました(笑)。
ペンネームに由来がありましたら、教えてください。
よくぞ聞いてくださいました!
小さなお子様でも読めること、一度見たら忘れられないインパクトを狙って考えました。(がんばって考えたんですよ?)
縦書きにした場合は、上から読んでも下から読んでも『のりのりの』。
横書きにしたら、右から読んでも左から読んでも『のりのりの』です。
ちなみに息継ぎのタイミングは、『のり・の・りの』となります。
じっと見ていると、なにか動物の顔(顔文字)に見えてきませんか?
ホラ! 『り・の・り』
『田舎の竜騎士見習いは帝都の空で愛を狩る〜大自然に囲まれてのんびりしてたら帝都の学院に放り込まれた〜』は、どんな物語でしょうか?
イソップ寓話の一つ『田舎ネズミと都会(町)のネズミ』のタイトルからヒントを得ました。
(物語の展開はまったく違います。田舎と都会を行き来する話ではなく、学院ラブストーリーです)
辺境の地(田舎)で暮らしている攻め(転生者で前世の記憶持ち+貴族の末っ子の箱入り息子+転生特典ありのチート級)。……なのに、外界と遮断された『辺境すぎる場所』で暮らしていたがために、常識を知らぬまま(異世界ルールを誤解したまま)育ってしまい、とある事情で帝都(都会)の上級学院に編入することになってしまいます。
そこで都会っ子のツンデレ受けと『床ドン』運命の出会いをするのですが――
困ったことに受けは超問題児。
攻めもまた、帝都の常識を知らないまま学院に編入したから、事件が絶えません。
そのペースに受けが巻き込まれ、いつのまにか互いに足りない部分を支え合っていく……そんな物語です。
受けもまた攻め以上に強い子なのですが、なぜ彼が頑なに心を閉ざしているのか。
どうしてこんなにひねくれてしまったのか。
そこが最大の謎であり、攻めと一緒にその理由を解き明かしていく構成になっています。
そして、彼らは竜騎士見習い!
幼竜と契約しており、その可愛らしさと健気さも、物語の大切なキーとなっています。
今作は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
話せば長くなるのですが、きっかけは『第1回ルビーファンタジーBL小説大賞』への応募でした。
ただ、コンテストの締め切りに間に合わせるにはスタートが遅く、「一番手早く形にできそうな話はなんだろう?」と、いくつか候補を考えました。
そのとき、ふと思い出したのが、小説投稿サイトに載せた初めての作品『壮大なプロットの長編群像作品(黒歴史仕様)』でして……。
その作品の主人公たちの成長物語なのですが(現在10歳)、物語が進んで18歳になったタイミングで公開しようと思っていたスピンオフ構想が、もともとあったんです。
「前倒しで書け! これは賭けだ!
書くなら今でしょ!」――どこからか降ってきた神の声(?)に背中を押されて生まれたのが、『田舎の竜騎士見習い』でした。
今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。
コンテスト応募時にはなかったシーンが、今回『たっぷり』書き足されておりますので、やはりそこが『読みどころ』ではないでしょうか。
BL定番(?)の「ふたりきりの密室」「拘束」「首枷」「ペアルック」「トイレでイチャイチャ」……といった要素も登場しますが、攻め(転生者で前世の記憶持ち+貴族の末っ子の箱入り息子+転生特典ありの秘境育ち)なので、どこかズレて見えるのがポイントです。
テンプレのようでテンプレじゃない――そのギャップと、受けの戸惑う反応を書くのがとても好きでした。
物理的な衝撃の出会いから始まる、ふたりと二頭の幼竜との関係、そしてそれぞれの成長を見守っていただけたら嬉しいです。
今作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか?
また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。
タイトルを考えるのは本当に苦手で……。特にカクヨムではキャッチコピーも考えなければならず、いつも悩みます。
「田舎」と「都会」の対比を前面に出したかったのですが、ファンタジー世界に「都会」は似合わない気がして、最終的に「帝都」に落ち着きました。
本当は「竜騎士」にして格好よく決めたかったのですが、彼らはまだ学生で、騎士団にも所属していません。(イメージとしては士官学校に近い訓練課程です)
そこで「タイトル詐欺はダメだ」と思いとどまり、未熟な彼らの成長を願って「見習い」を加えました。
本当は「大空に向かって愛を叫ばせたい」気持ちもあったのですが……それだと少し体育会系になりそうで(笑)。
最終的には、「積極的な攻めが、逃げ腰の受けを狩りに行って彼を救ってあげてほしい」
――そんな願いを込めたタイトルにしました。
メインカップルのご紹介と彼らを描く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?
ちょっと天然で、竜が大好き。
前世のリーマン時代の処世術をフル活用して、無難に生きようとしていた攻め――田舎育ちのベルラン。
そして、ちょっとツンデレで意外とハイスペック。
真っすぐゆえに過去を拗らせ、学院の問題児となってしまった受け――帝都育ちのリリオーネ。
このカップルは、それぞれがさまざまな理不尽を背負っています。
理不尽が重なっていく中でも、それを『理不尽としない強さ』。
その強さの根っこにあるのは、相手を思いやる優しさや、受け入れることだと思っています。
そして、そこに異世界ファンタジーならではの『魔力相性のよさ』エキスが加われば、もう言うことなし!
ファンタジーカップルならではのドリーミーな展開になるよう、異世界でなければ描けない恋になるように意識しました。
生まれも育ちも違うふたりが、ペット(幼竜)持参で同室になることで、どんな騒動――いえ、どんな『気持ちの変化』が起こっていくのか。
田舎と都会。末っ子攻めと長兄受け。
このコントラストをしっかり描きながら、互いが足りない部分を補い合うことで、『理不尽』を『愛』と『笑い』に変えていく強さをもつカップルとして描けるよう心がけました。
彼らのラストを見届けてくださった方に、そんな『お似合いのふたり』として認めて欲しい――という気持ちを、いっぱい詰め込みました。
……と、こだわったのは事実なんですが、それが上手く表現できたかは……うーん、よくわからないので、別次元の話ということで開き直っています(笑)。
各キャラクターの個性も読みどころの一つだと思います。
彼らのスタイルに、テーマやこだわりがありましたら、教えてください。
(服装・持ち物・ヘアスタイルなど)
竜騎士見習いは、竜騎士候補生とは違い、自分の騎竜を持っています。
幼い竜と契約した場合は、肌身離さず幼竜を連れ歩いてお世話をしなければならないのですが――抱っこだと両手が塞がって不便ですよね。
そこで攻めが、前世の知識を生かして『ドッグスリングの幼竜版』を手作りします。
そのこだわり具合と、手作りスリングへの情熱はとんでもなくて(笑)。
実は私自身も、スリングへのこだわりにはちょっと自信があります。
ぜひ彼らの『スリング』に込めた意味深なメッセージにご注目いただき、ニヤリと笑っていただけたら最高です!
苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?
『田舎の竜騎士見習い』は、カクヨム発・カクヨムオンリーのWeb小説が元になっています。(カクヨムはSNS的な要素の強い小説投稿サイトです)
とにかくコンテストの締め切りまでの時間がなく、「もう無理! やめよう! キャンセルしよう! 寝たい!」と何度も思いました。
それでも、公開するとすぐに読んでくださるヨミセン様、ハートを押してくださるフォロワー様、ギフトをくださる方、丁寧な応援コメントを寄せてくださるカクトモ様……。
他の書籍化作家さんに比べたら小さな数字かもしれませんが、みなさんの応援があったからこそ、締め切り内に完結させ、コンテストの土俵に立つことができました。
最終日は朝の四時か五時まで、あらすじを書き続けていました。
苦しかったけれど、楽しかった――いえ、やっぱり苦しかったです(笑)。
でも、あのとき感じた『奇跡のつながり』は今でも忘れられません。
特に応援コメントは本当に励みになりました。 宝物です。
『田舎の竜騎士見習い』は、私ひとりで書き上げた作品ではなく、読んでくださった方々と『共に』書き上げた作品だと思っています。
お気に入りのキャラクターや描き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?
登場人物たちが「思い通りに動いてくれない」とか、「勝手に動き出す」といったことは、あまり意識したことがありません。
キャラクターにはそれぞれ個性や行動の理由があるので、その場面に必要なキャラが揃っていれば、物語は自然と動いてくれます。
西洋ファンタジーが好きなので、身分差による敬語や呼び方の使い分けに迷うことが多く、そのたびに手が止まって「ややこしいなぁ」と思うことはありますね(笑)。
お気に入りのキャラクターは……というより、嫌いなキャラがいません。
しいて挙げるなら、フィリア先生がお気に入り。あと、攻めの母上も大好きです。
執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。
それがですね、私自身がけっこう田舎っぽい場所に住んでおりまして、リアル書店の規模も小さく、BL書籍は電子版でしか読んだことがないんです。
BL棚がどこにあるのかもわからない……。
つまり、BLといえば『スマホサイズの大きさと薄さ』しかイメージできず、レーベルの区別もよくわかりません。
担当さんとの打ち合わせのとき、「書籍化って、どんな書籍になるんですか?」的な質問をしたところ(細かな説明は忘れてしまいましたが)、「この文字数(ページ数)ならジリツします!」と言われまして。
「ジリツ?」と聞いた瞬間、私の脳内には――なぜか「アルプスの陽気な歌い出し」と、「クラ○が立った!」というシーンが蘇り……ちょっと慌てました(笑)。
担当さんからは(要約すると)「ファンタジーではなくBLです」という指示をいただき、いくつものシーンを涙を流しながら(比喩ではなく本当に泣きました)調整しました。
そのときはもう、「立つんだ、のり! クラ○だけじゃない! ベルランとリリオーネを立たせるんだ! ジリツだ――!」と自分に言い聞かせながら、キーボードをポチポチしていた気がします。
私の涙のしょっぱさと引き換えに、糖度マシマシの書籍版ストーリーが完成しました。
そこはさすが、ルビーの担当さん。糖分加え方はすごく勉強になりました。
作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?
主人公たちはとにかく、かっこよく。より美しく。より強く。
それは外見だけでなく、心の奥にある『見えない部分』にまで通じていると思っています。
ただ、完璧ではなく、どこか少し足りない(抜けている)ところがある――そんな人間味も大切に。
どんなに辛いことがあっても、笑って乗り越えていける姿を書きたいと、いつも心に言い聞かせています。
また、無駄なものや無意味な出来事はひとつもなく、必ずそこに至る理由がある。
その理由に納得できるまで、とことん考えるようにしています。
そして、その世界で生きている彼らや彼女たちには、いつも敬意と(私なりの)愛情をもって接することを忘れないようにしています。
――ずいぶんと歪んだ愛情ではありますが(笑)。
今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?
私の性格上、世界を量産するのはきっと無理だろうなと思っています。
ひとつひとつの世界を大切に、そこで生きて、交錯するカップルたちにスポットライトをあてて――。
彼らの生きている姿が、少しでも皆さまの目にとまれば幸せです。
私が心の神棚に祀っているBL作品は、どれも最初は「BLにしておくのがもったいない」と思いながら読み進め、最後には「ああ、やっぱりこれはBLじゃなきゃ届かない物語だったんだ。BL最高! ありがとうBL!」と感じさせてくれるものばかりです。
そんな『なんでBL?』に、少しでも近づけるように。
これからも、自分なりの『なんでBL?』を探しながら書いていきたいです。
読者様にメッセージをお願いします。
はじめまして。のりのりのです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
現在はカクヨムをメインに活動しております。
凄腕の担当さんのご指導のもと、さまざまな方のお力添えに加え、カクトモさんのコメント、そして今まで読んできた本の積み重ねのおかげで、『Web版・田舎の竜騎士見習い』の『書籍版』を書き上げることができました。
Web版はファンタジー群像劇の色が強く、書籍版は、メインふたりの不器用だけどまっすぐな愛の物語になっています。
カクヨムでは全年齢版のショートストーリーや、ミルウス兄様のスピンオフも公開中です。
読み比べの楽しさを存分に味わえる、実にリーズナブルな内容となっておりますので、Web版だけでなく、甘い書籍版もぜひお楽しみください。
そして――紙の本を手にされた方は、ぜひ『本が自立する瞬間』とその雄姿をご確認のうえ、笑っていただけたら嬉しいです。
田舎の竜騎士見習いは帝都の空で愛を狩る~大自然に囲まれてのんびりしてたら帝都の学院に放り込まれた~
KADOKAWA(角川書店)/ルビーコレクション
発売日:2025年12月26日