千早の方は以前から使っていた名前で、百人一首の在原業平が好きでつけた名前です。今作を書くにあたり、名字をつけようと「えんま」という音を当てました。冥界の閻魔様からもらいまして、様をつけて呼ばれたら楽しいんじゃないかな、という軽はずみな思いつきでした。ネタとして温めていましたが、サイトの読者さまは皆さま礼儀正しくて、閻魔なんですか? なんて聞かれることはまずなく……。今回ご質問いただき、このネタが日の目を見ました。ありがとうございます。
デビューのきっかけ、または作品を書こうと思われたきっかけがあればお聞かせください。
自分が読みたいと思う話を自家発電しようと思い立ったのがきっかけです。昔から児童書ファンタジーが好きだったのですが、それに加えて謎解きの要素があり、ライトノベル感のある明るいストーリーで、かつちゃんとBLであるという話をストレスなく読みたい、という欲求がありまして、自分で書いてみようと思ったんです。それで趣味を共有してくれる方がいれば嬉しいなと思い、投稿サイトで連載を始めました。
『悪役令息レイナルド・リモナの華麗なる退場』は、どんな物語でしょうか?
ゲームの悪役令息に転生していると気づいた主人公が破滅を回避するために奮闘する物語です。ポイントとして、主人公であるレイナルドは前世でそのゲームをやったことがありません。自分はシナリオを何も知らない。さてどうする、というところから始まるストーリーです。黒幕を突き止めようと奔走する傍らで、同級生だった天才魔法使いとのラブに片足を突っ込んでいきます。異世界ファンタジーとBLをどちらも楽しめるお話になっていたら嬉しいなと思っています。
今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。
なかなか忙しいお話なので、畳みかけるようなストーリー展開がお好きな方は楽しめるのではないかなと思います。最後に主役カップルの関係にどんな変化が訪れるのか、というところも注目していただけると嬉しいです。
好きなシーンはレイナルドがグウェンドルフの家族にブチギレるところと、親友の奥さんであるソフィアが釘抜きを持って現れる初登場シーンです。
主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
誕生秘話と言えるようなお話が特になくて恐縮ですが、レイナルドとグウェンドルフは二人ともビジュアルから入りました。レイナルドは金髪で、レモンイエロー。瞳はライム、というイメージで、完全にレモンのイメージに引き摺られ家名のリモナが決まりました。グウェンドルフは長髪黒髪、と決めていたので、強そうで北部の男らしい寒そうな名前を考えました。
性格は正反対の二人ですが、レイナルドは何事も受け入れる受容型、グウェンドルフは心を決めたら全て捧げる献身型、という愛の形があり、だから上手くかみ合う、というところを最初から今までずっと変わらずに書いています。
苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?
今回収録分のお話では、あまり苦労したという記憶はないですね……。何度も書き直した記憶があるのはレイナルドがグウェンドルフの家族にキレ散らかすシーンのセリフです。それからコミカルなシーンの言い回しも悩みました。そう考えると会話のテンポや間、という点は最初試行錯誤だったように思います。
全体的に、自分が読みたいものを好きに書くと開き直って書いていたので、それ以外のことを気にせずに突き進んだこともあり、書くのはずっと楽しかったですね。
遠間先生の中で、連載当初と回を重ねるうちにキャラクターやプロットに変化や発見がありましたか?
アルファポリスのサイトでWeb連載を始めた当初と今を比べて、予想外だったのはグウェンドルフがレイナルドの安全確保に手段を選ばなくなってきたことです。そんなに突き抜けてしまうとは思っていませんでした。でも彼の愛に我が出てきたのはいいことだなと思っています。反対にレイナルドは恋愛に対する照れや一歩引いた冷静さを当分失わないだろうと思っていましたが、今、思った以上にラブラブです。なんのことやら、と思われる方はサイトの方を覗いていただければ幸甚です。
お気に入りのキャラクターや動かしやすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?
基本的にこのお話の登場人物はみんな勢いがあるので、みんな動かしやすいです(笑)。それぞれポリシーや行動基準がはっきりしているので、迷ったりすることはあまりないです。どちらかというと、展開によってはキャラの方からお話を引っ張ってくれます。みんなキャラ立ちしていてありがたいな~と思っています(笑)。
主役二人以外のお気に入りのキャラはベルとウィルです。シリアスなシーンでもほんわか癒やしを与えてくれる大事な子達です。
BLで萌えるシチュエーションやキャラクター設定を教えていただけますか?
受けに対して尋常ではない執着を拗らせている攻めが大好きです。さらにその状態で受けが攻めを受容していて、お互いを唯一無二だと思っていると最高です。
作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?
この話は連載当初から通勤の合間や寝る前などに読んでいただいて、少しでも楽しい気持ちになってもらえたらいい、と思って書いていました。なので、シリアスなシーンでもなるべくストレスがかからないストーリーになるように心がけています。
エピソードを組み立てる上では、一話ごとにここだという面白い部分や見せ場を作れるように意識していました。読んでくださる方の毎日のちょっとした楽しみになれるといいなと思っています。
今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?
ここ最近ファンタジーばかり立て続けに書いているので、そろそろ現代もののリーマンBLなどを書いてみたいです。ファンタジーではない日常の恋愛というテーマに挑戦してみたいと思っています。
アルファポリスからデビューさせていただきました遠間千早といいます。このたび、サイトで連載しているレイナルドの物語が書籍化するというご縁をいただきました。応援してくださった皆様に心からの感謝を申し上げます。レイナルドとグウェンドルフをずっと見守ってくださった読者さまに素敵な装丁の本をお見せすることができ、嬉しい気持ちでいっぱいです。書籍に目をとめて手に取ってくださった皆様にも心より感謝申し上げます。
最後まで楽しんでいただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。