『宵闇お宿の鬼の主のお嫁様』発売記念 杉原朱紀先生特設ページ

インタビュー

新作『宵闇お宿の鬼の主のお嫁様』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

 幾つかパターンを考える中で、和風のあやかしが出てくるお話を書きたい、ということで作りました。
 伝奇のような雰囲気のお話は定期的に書きたくなるので、今回もあやかし、旅館、組紐、着物、と好きなものを詰め込みました。

新作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか? また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

 仮タイトルを元に担当編集さんが考えてご提案下さったものを、そのまま使わせて頂きました。
 作中の宿『ゆわい』のイメージが、月のない静かな宵の中に佇むような雰囲気だったので『宵闇』という言葉を使っていたのですが、そこを取り入れて下さり、かつ話の内容もわかりやすく語呂も良いので気に入っています。

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

 プロットです。タイトルは、ぱっと思いつく時もあるのですが、基本苦手なので一番最後です。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

 秘密があるがゆえに静かに受を見守る攻と、攻に対する気持ちを突き詰めていくことで自身への執着の薄さを見直していく受の気持ちの動きを見て頂ければと。
 宿屋のあやかし達とのほのぼのしたやりとりなんかは、楽しんでもらえるといいなと思います。
 好きなシーンというか、隙あらば受を抱き上げようとする攻や、組紐を作るシーンは書くのが楽しかったです。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです。

 攻の時雨を、鬼にするか狐にするかを悩みました。イラストでもふもふが見たかったので……。結果、もふは別のキャラに託したので鬼のあやかしになりました。
 時雨の名前は、心を潤す雨のイメージで『慈雨』と、侘しさやもの悲しさのイメージで『時雨』の漢字がぱっと思い浮かび、イメージと語感から時雨しぐれになりました。
 受の凪に関しては、組紐が話の根幹にあり、なら着物も扱いたいと和裁士となりました。洋裁もできるので、着るものに関してはわりと万能です。
 凪の名前については、あまり悩まなかったのですが、感情の起伏を表に出すことができない性格から、凪いだイメージでつけました。
 サブキャラに関しては、折角だから色々出したいという欲望のもと、なんのあやかしにするかとそれに合わせた色を考えるのに一番時間をかけた気がします。

メインカップルのご紹介と彼らを書く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

 攻の時雨は、鬼のあやかしで、かつ宿屋『ゆわい』の店主。基本は鷹揚だけれど、あやかしらしい冷酷さも持ち合わせ、けれど凪に関してはひたすら甘いです。あやかしの中でも特に強い力を持つため周囲には自身を畏れる者ばかりで、長い時間を生きる中、生きることに飽いている部分があります。
 受の御坂凪は、両親を亡くし、折り合いの悪い親族と閉塞的な環境の中にいたものの、祖母から愛情深く育てられたため根が素直で真っ直ぐです。ただ、環境ゆえに人に迷惑をかけることを極端に恐れているため人に頼ることができず、また、周囲の状況から自分がなにかを得ることは悪いことだという認識が強いため執着という感情が欠落しています。

 二人を書く上で一番気をつけたのは、距離感と心の動きです。あやかしである時雨が人間である凪の心に寄り添いつつも決して手放さないという執着を抱えながら見守る部分と、執着という感情を持たない凪が時雨に惹かれていく中で変化していく部分が書ききれていればいいなと思います。
 後は、凪に関して独占欲の強い時雨が大人気ないことにならないように気をつけました。

各キャラクターの個性も読みどころの一つだと思います。
彼らのスタイルに、テーマやこだわりがありましたら、教えてください。

 時雨に関しては、凪からもらったもの以外、必要最低限のものがあればいいという感覚。服装諸々、店主としての体裁が整っていればいいという程度なので、対外的に必要な時は従業員達が飾っています。
 凪については、古い物を大事にし続けており、仕事道具で必要なもの以外はほぼ買い換えず、服や着物も清潔感を損なわない程度に繕うか縫い直すかなので物は増えません。が、今後は時雨や従業員達の手によって勝手に物が増えていくと思います。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

 滅多にないのですが、今回、一部キャラの立ち位置と後半部分の流れをプロット時から変更してしまったので、諸々調整に手こずってしまいました。
 後は、凪が周囲に流されるキャラに見えないように、という部分を注意して書きました。
 楽しかったのは、サブキャラクターのあやかし達とのやりとりです。カバー絵にも出して頂いている、子鬼の丙と丁、妖狐の雪葉は特に書いていて楽しかったです。

お気に入りのキャラクターや書き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

 サブキャラクターは性格的にもみんな書きやすかったですし、お気に入りです。主役二人がじりじりしている分、場面を動かしてくれるのでありがたかったです。
 一番難しいのは凪でした。内向的な性格ゆえに卑屈に見えてしまわないように書くのに注意が必要で、その辺は苦労しました。

執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。

 『ゆわい』のイメージを考えるのに旅行雑誌や旅館の写真が載った本などを色々見ていたら、楽しすぎてあっという間に時間が経っていた……というのを、繰り返していました。組紐も同様です。

作品のテーマ・アイデアなど、どのような時に浮かぶのでしょうか?

 ネタ出しの時に書きながら出てくることもありますが、通勤中、電車に乗っている時や歩いている時にぼんやり考えているとぱっと思いつくことが多いです。

癒しのアイテムや気分転換の方法、またハマっていることなどがおありですか?

 気分転換は寝ることとひたすら本を読むことです。
 ハマっているというか、自分の運動にしなさっぷりにさすがにやばいと思ったので、まずは一日五分の簡単な筋トレから継続できるよう頑張っている最中です。

最近読まれた小説・コミック・映画などでおすすめの作品はありますか?

 最近だと、舞台になってしまいますが、ミュージカル「SPY×FAMILY」がとても面白かったです。
 原作の良さを損なうことなく、エンタメとして丁寧にそしてセンス良く作られていて、幅広い年齢の方が楽しめる素敵な舞台でした。
 本当に、アーニャ役の子達がみんなとても可愛かったですし、観終わった後にしばらく劇中歌がぐるぐる頭の中を回っていました。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

 できるだけテンポよく読めるようにしたいなとは思っています。
 ファンタジー要素が入るとどうしても説明部分が多くなってしまうというのもあり、説明の入れ方やタイミングのバランスは気をつけています。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

 中華ものとかは書いたことないのでいつか書いてみたいです。年下攻や異世界転生もの、現代ファンタジーものも定期的に書きたくなるので、チャンスがあればまた書きたいです。

読者様にメッセージをお願いします。

 ここまで読んで下さりありがとうございました。
 お手に取って下さる皆様のおかげで、また新しいお話を書かせて頂くことができました。いつも本当に感謝しております。
 鬼と人との心の繋がり、そして宿屋『ゆわい』での物語を、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

宵闇お宿の
鬼の主のお嫁様

著:杉原朱紀
イラスト:鈴倉 温

幻冬舎/幻冬舎ルチル文庫

発売日:2023年07月19日

STORY

どうすれば、時雨さんに食べてもらえる――…?

人ならざるものを視るせいで忌避されて育った凪。唯一の味方だった祖母を亡くして久しく、明日の行方も知れない――…。
そんな折、馴染みの子狐たちに導かれるようにして辿り着いたのは、現世と幽世の狭間に建つ宿屋《ゆわい》。
そこの主を務める鬼・時雨に、幼い凪は命を救われたことがあるらしい。会っていきなり「伴侶に」と求めてきたというのに、しかし時雨は凪を甘やかしてばかりで……?

出版社コメント

鬼と人、生涯の伴侶、高級和風リゾート、もふもふ、溺愛……これらのキーワードにピンと来られた方は、ぜひともお宿《ゆわい》で癒しのひとときを。様々な種族のスタッフが心づくしのおもてなしであなたをお迎えいたします。

お試し読み一部公開!

※画像右側をクリックすると次のページに移動します。

※画像右側をタップすると次のページに移動します。

この続きは文庫をチェック♪

特典情報

有償特典付商品

有償特典アクリルコースター

+

コミコミ特典SS小冊子

商品ページはこちら

※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

通常商品

コミコミ特典SS小冊子

商品ページはこちら

※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

©️杉原朱紀・鈴倉 温/幻冬舎コミックス

TOP