『月の廓に咲く花は』発売記念 くもはばき先生インタビュー&お試し読みページ

帯入れ込みイメージ

インタビュー

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

姓をくもは、名をばきと発します。 「くもは」は電車の型式から、「ばき」は中学生時代のあだ名からです。
本名が姓名ともに読み間違え・書き間違えをされやすいものなので、ペンネームはそういったことのないよう全てひらがなにしようと思い名付けました。

新作『月の廓に咲く花は』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

執筆を開始したのはまだデビュー前、後にデビュー作となる「明日はきみと笑うシャラララ」を書き上げた直後でした。「明日は〜」が現代もので地に足のついた舞台設定だったので、反動で豪華絢爛かつ色っぽいものが書きたい! と思ったのがきっかけといえばきっかけかもしれません。

新作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか? また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

タイトルを決める時はいつも同じ方法を採るのですが、作品を象徴する単語をできる限り挙げていき(今回の場合は「月」「花」「海」「廓」など)、それらを組み合わせて語呂のよいタイトルを10案ほど作成します。その中から自分と担当編集さんとで相談し今回は「月の廓に咲く花は」に決定しました。
名付け方法はシステマチックですが、このタイトルには「作品の内容と魅力がよく伝わりますように!」「読後にタイトルを見てもう一度読み返したくなるような作品になっていますように!」という思いを込めています。

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

正式タイトルはいつも作品が出来上がってから上記の方法で考えているので、必然プロットが先になるでしょうか。ただ、執筆完了まで名無しの作品だとプロット作成〜本文執筆時に不便が生じるので、正式タイトル決定までの仮タイトルをプロットと同時に付けることが多いです。今作の仮タイトルは「豊かの海に露の咲く」でした。
ちなみに今作は上記の仮タイトルで2014年から16年にかけて同人誌版を頒布しています。(同人誌版はお陰様で完売済です)

新作『月の廓に咲く花は』は、どんな物語でしょうか?

十の頃から廓育の主人公・朔花が男娼として成長していくと共に恋を知り、幼馴染である黒川余市の深い愛によって救われる物語です。
自分の選んできたことやしてきたことを後悔するようなことがあっても、巡り巡ってその選択によって幸せになれることもあるんだよということが伝わればいいなと思っています。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

読みどころはやはり遊廓内での色っぽい駆け引きや独自の文化、それに絢爛な情景描写でしょうか。自分も遊廓が舞台のBL小説が大好きなので、同じ遊廓好きの読者様には特にご満足いただけるよう頑張りました。(笑)
好きなシーンは迷いますが、やはり遊廓モノといえばお馴染み(?)の「足抜け」シーンでしょうか。疾走感や爽快感を味わっていただけたら幸いです。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
(名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです)

主人公・朔花のキャラクター造形における一番のモチーフは、実は童謡「怪獣のバラード」に出てくる怪獣だったりします。何を言っているんだこいつはと思うかもしれませんが本当です。いい歌ですよね怪獣のバラード。大好きです。
笑ったり泣いたりしながら愛と海のあるところを求めて懸命に砂漠を歩いていく怪獣が朔花のキャラクター造形に大いに影響しています。
必然、相手役の余市のモチーフは「愛」と「海」そのものということになります。海のように大きな器と愛で恋しい人の人生丸ごと受け止められる男であれ! という思いで彼を造形しました。
なお名前の由来ですが、源氏名の朔花は「咲く花」の言葉遊びから。それとは別にある彼の本名と余市の名前は、宇宙とワインの街として有名な北海道余市町の地名から採っています。

メインカップルのご紹介と彼らを書く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

メインカップルは男娼の朔花(受)と、その幼馴染で花屋の黒川余市(攻)になります。
彼らを書く上で大切にしたというかブレないように気を付けたことは、朔花を想う余市の一途さや純粋さと、朔花が知らず識らずの内に抱いていた余市への恋心。そして、それが「恋」だと気付いてからの葛藤です。 恋しい人がありながら仕事として夜ごと様々な男に抱かれなければならない切なさや、相手に対する自分の「想い」をどう示すか、どう信じてもらうかというのも遊廓モノならではの醍醐味だと思うので、うんとこだわって書かせていただきました。

メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか? 

受の朔花はカラッとした性格でフットワークが軽く、どんな事態にも臆するところなく飛び込んでいく元気と気風の良い美人です。
攻の余市はこうと決めたら一直線なところのある頑なで一途な男で、花魁街道を駆け上がっていく朔花をその一途さ直情さで追いかけ支え続ける努力家な一面もあります。
はたから見れば明らかに好き合っている二人が時には朔花の手練手管で、時には余市の頑なさですれ違ったりじゃれあったりするやり取りも楽しんでいただけたらと思います。

各キャラクターの個性も読みどころの一つだと思います。
彼らのスタイルに、テーマやこだわりがありましたら、教えてください。
(服装・持ち物・ヘアスタイルなど)

舞台が「未来の月面にある遊廓街」なので、登場人物の衣装や持ち物、街並みなどは和洋折衷かつ未来的な雰囲気も出るよう心がけました。特に朔花の着物の着付け方などは伝統的なスタイルから現代的なアレンジスタイルまで様々なものを取り入れています。
一方の余市は、朔花が出世していくごとに彼もまた仕事で成功を収めているのが分かるよう、章が進むごとに身につけている衣服をラフなものからフォーマルなものへと変化をつけてみました。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

今作で苦労した点は、やはり未来の宇宙開発に関する考証でしょうか。あんまり専門的な描写をしてもイメージがわかないけれども、少しはSF的な描写もないとせっかくの舞台を生かしきれないのでは……といった感じで、最後までその塩梅には悩むことになりました。
楽しかった点は遊廓での人間模様ももちろんそうなのですが、初めて挑戦したスペースオペラ作品でもあったので苦労もしましたが宇宙に関する描写も楽しく書かせていただきました。

お気に入りのキャラクターや書き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

メインカップルの二人がやはりお気に入りではあるのですが、その他となると二章に登場する講談作家の古林が人間臭くて私のどタイプです。すごく書き手の思い通りに動いてくれるし。(笑)
逆に思い通りにならないというか、書いていても得体が知れない奴だなと思ったのは三章で登場する実業家の北野でした。作中でも「つかみどころのない男」として描写してはいるのですが、そのキャラは書き手にまで発揮しなくていいんですよ……? と何度思ったか知れません。なんなんだあの男は俺様なのか王子様なのかどっちなんだ。

書き進めるうちにキャラクターやプロットに変化や発見がありましたか?

キャラクターには特に変化はなかったのですが、プロット(特に後半)は大幅に変わりました。
当初は月と地球で戦争が起こり朔花と余市がそれに翻弄されたりなんなりと色々あったのですが、今現在の景気や世界情勢などを鑑みてその部分はまるっと変更し、今の形に落ち着きました。
ちなみに当初のプロットよりも今のものの方がだいぶロマンチックになったと思うので、私自身のBL作家としての成長もうかがわれたりするかもしれません。(笑)

執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。

執筆を始めてから今回こうして完結・上梓させていただくまでに約8年かかっておりますもので、執筆中に引っ越しを2回、転職を3回、結婚を1回しました。
人生いろいろ、男女もいろいろ、BL作家だっていろいろ咲き乱れております。(笑)

創作中のルーティーンなどありますか?

コーヒーを淹れます。コーヒーを飲みます。数行書きます。コーヒーを飲みます。手が止まり唸ります。タバコを吸います。コーヒーを飲みます。家の中を歩き回ります。パソコンの前に座ります。唸ります。コーヒーを飲みます。ちょっと書きます。唸ります。またちょっと書きます。コーヒーを(以下ループ

作品のアイディアなどは、どのような時に生まれるものでしょうか?

ニュースを見たり人と話したり、旅行(遠近問わず)をした時などに生まれることが多いです。
要は自分の知らない世界や文化に触れた時に持った興味や、その時に見聞きした風景や音などに触発されることが多いのかも知れません。
あとは、たとえば「○○で△△なものを書こう!」と決めてから逆算でアイディアを捻り出すこともあります。 その場合は同ジャンル先行作品のパターンや傾向を研究し、そこに自身の引き出しから一致しそうなモチーフを足してアイディアを練るのがいつものパターンです。

癒しのアイテムや気分転換の方法、またハマっていることなどがおありですか?

しょっちゅう肩こりに呻いておりますもので、もっぱら小豆のネックピローを癒しアイテムとして愛用しております。あとは入浴剤でしょうか。お差し入れにいただくことが多いのですがとても有り難く使わせていただいております。湯船に浸かるとよい気分転換にもなりますし!
話は変わりますが、最近ハマっているのは競馬です。某プリティーダービーからのライト競馬ファンではありますが、今のところはまだ節度を守って楽しんでおります。しかしG1はなぜこうも当たらないのか……。

最近読まれた小説・コミック・映画などでおすすめの作品はありますか?

友人の勧めで見た韓国ノワール映画「ハイヒールの男」がとても面白かったです。
主人公は美形の敏腕刑事でまさに男の中の男! と評される人物なのですが、実は「女性になりたい」ということを周囲に隠していて……という物語です。主演のチャ・スンウォン氏が男性の姿も女性の姿も大層美しく、見惚れることしきりでございました。

BLで萌えるシチュエーションやキャラクター設定を教えていただけますか?

今作もそうなのですが、ずばり「女装」です!
思えば初めて書いたBL小説も女装の受が主人公でした。三つ子の魂百まで……。(笑)

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

嘘や適当を書かないこと。分からないことは書かないこと。モチーフに敬意を払うこと。でしょうか。
その昔、まだ作家を志す前のこと。当時自分が就いていた職業についてとても杜撰な書き方をされている本を読んでしまい複雑な感情を抱いたことがあります。なので自分の書いた作品では極力、目の届く限りそのようなことがないよう、下調べは入念に行うようにしています。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

オメガバースやセンチネルバース、ケーキバースやアイスバースなどBLにはさまざまなユニバースがあるので、そうしたバース系のマルチバース作品が書けたら楽しそうだなと思います。目指せバースの幕の内弁当!(笑)

読者様にメッセージをお願いします。

ここまで目を通していただきありがとうございます。
少しでも今作「月の廓に咲く花は」に興味を持っていただけたら(そして願わくばお手元に置いていただければ!)幸いです。どうぞ、月の砂漠に咲いた花魁と花屋の恋を見届けてやってくださいませ!

月の廓に咲く花は

くもはばき
ill.立石涼

ぽん出版/虹の色文庫

発売日:2023年10月17日

月の廓に咲く花は

STORY

おれは、ガキの頃からずっとお前に惚れてる。お前が欲しい

吉原を模した遊郭街・まげもん町に飛び込んだ天涯孤独の朔花は、地球の海を観る夢を胸に生きている。 美しく姉御肌の朔花を支えるのは、幼馴染の花屋・余市。 だが恋を知らない朔花は、余市の密かな想いと決意に気づかない。 やがて花魁となった朔花は実業家に見初められ、地球へ請け出されることになるが……。 くもはばきが描く絢爛な近未来遊郭絵巻。 月だけに咲く恋の花が開く。

お試し読み一部公開!

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特典情報

有償特典

有償特典アクリルコースター

+

コミコミ特典\先生お手製!スペシャル仕様/
20P小冊子

商品ページはこちら

※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

無償特典

コミコミ特典\先生お手製!スペシャル仕様/
20P小冊子

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※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

©️くもはばき/立石涼/ぽん出版

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