『ピノと、彼の初戀』発売記念 伊勢原ささら先生インタビュー&お試し読みページ

帯入れ込みイメージ

インタビュー

新作『ピノと、彼の初戀』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

もともと人形が好きで、ピノキオっぽい可愛い木の人形が王子様のような人に恋をする物語なんて楽しいかも、という、ちょっと突飛な想像から始まりました。人形と人間なので普通なら当然結ばれないところですけれど、心と心で愛し合うことができたら素敵だな、と。人でないもの(人外)との恋、しかもお人形、そして愛らしく心優しい受に頑なでクールな攻、と、今回のお話は私の好きなものを詰めこんでおります。

新作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか? また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

担当さんと相談し、シンプルで可愛いもの、という感じで決めさせていただきました。「恋」ではなくあえて旧字体の「戀」というのが、クラシックなイメージでとても気に入っています。主人公の「ピノ」という名前も響きがよく可愛らしい雰囲気なので、タイトルに入れさせていただきました。

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

プロットです。タイトルはいつも作品が書き上がってから、うんうん唸りながら考えます。仮タイトルも作らないので、このお話のデータ名は「木の人形くん」としていました。

新作『ピノと、彼の初戀』は、どんな物語でしょうか?

素敵な恋愛に憧れる木の人形のピノが、事情を抱えた孤独な青年ラウルと出会い交流するうちに、彼を笑顔にしたいと願い、恋をする気持ちを知っていく物語です。他人に壁を作っていたラウルも、ピノの優しさと明るさに救われ、次第に心を開いていきます。生みの親の人形師・パオロ、旅の途中で出会った青年・アンジェロとともに、ピノはたくさんの経験をしつつ成長します。ラウルの笑顔を守り、人間の王子様とお姫様のように結ばれてともに生きていきたいと思い始めるピノ。けれど、二人には悲しい事態が待っていて……。
一途にラウルの幸せを願うピノと、ピノによって人生を変えられたラウル。普通なら結ばれないはずの人形と人間。それでも心から想い合う二人の恋の行方を、皆様に見届けていただけましたら幸いです。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

旅を続ける中でピノはあるつらい運命を背負うことになるのですが、そのときのピノの決断が読んでくださる方のお心に響けばいいなと思います。どのシーンも思い入れがあり大好きなのですけれど、一番好きなシーンは、やはり本編のラストでしょうか。結ばれた二人の笑顔のイラストに、私も幸せな気持ちでいっぱいになりました。読んでくださる方にも同じ想いになっていただけるといいなと願っています。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです。

幼い頃からピノキオのお話が好きで、楽しくて無邪気な木の人形が家族だったらいいだろうな、なんて思っていました。ピノは、自分で生みだしたキャラではあるのですが、私の憧れというか、理想の人間像という感じで思い入れが深いです。生みの親の人形師・パオロのように、老後はピノと暮らしたいです(笑) 名前はご想像のとおり、ピノキオからいただきました。ピノのことばかり語ってしまいましたが、ラウルも愛しいです。クールで頑なな彼の笑顔を早く見たいと、書きながら私も願っていました。ピノ以外の登場人物の名前はピノキオの国、イタリア風にしてみました。

メインカップルのご紹介と彼らを書く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

受のピノは人のような心を持ち、動いたりしゃべったりできる「魔法人形」です。人間が大好きで、周りの人にいつも笑顔でいてほしいと思っており、常に明るく前向きで、大切な人のことを一番に考えます。一方攻のラウルは、「魔法人形」の魂を天に送る役目の「送りびと」です。過去のある出来事により心を閉ざしてしまい、最初は人形であるピノと距離を置こうとしています。ピノは光、ラウルは闇といったところでしょうか。本当は光を求めている闇が、次第に夜明けを迎えていく過程を見守っていただきたいと思います。とにかく二人の性格が正反対ですので、会話の噛み合わなさなども楽しんでいただけるように書いてみました。

各キャラクターの個性も読みどころの一つだと思います。
彼らのスタイルに、テーマやこだわりがありましたら、教えてください。

ピノはとにかく可愛らしく、見る人を笑顔にするような明るい感じのイメージです。胸に大きなポケットのついたシャツがお気に入りです。ラウルは対照的に黒を基調にしたいでたちで、暗さのあるクールな感じにしてみました。実は、黒のロングコートは作者の大好物アイテムなのです。yoco先生の描いてくださった二人のイラストは、まさに私のイメージそのままで感謝でいっぱいです。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

担当さんのアドバイスでプロットがどんどんよくなっていったときはワクワクして、これはきっと大好きなお話になるぞ、と思ったのですが、それだけに、自分の中にある情景をうまく表せないのではないか、この想いを伝えられないのではないか、というプレッシャーのような不安が常にありました。けれど大好きなピノ、ラウル、その他のキャラたちの世界に入り込み、ともに過ごす日々は、とても嬉しく幸せでした。

お気に入りのキャラクターや書き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

今回のお話に関しましては、みんな自由にスムーズに動いてくれた気がします。中でも書きやすかったのは、やはりピノでしょうか。私は攻で苦労することがわりと多いのですけれど、ラウルはピノに導かれるように自然に心を開いていってくれました。感謝です。

書き進めるうちにキャラクターやプロットに変化や発見がありましたか?

プロットにつきましては、書いていくうちに「こうしたほうがいいかな」と気づかされる部分がいくつか出てきて、結果としてよりよいものに仕上げられたと思います。話が進むごとになめらかに自由に動き、がんばってくれたキャラクターたちのおかげですね。

執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。

ちょうどこのお話を書いているとき指を痛めまして、初めて音声入力にトライしてみました。指に負担がかからないのはよかったのですが、色っぽいシーンなどは声に出すのがとても気恥ずかしく、ご近所さんに聞こえてしまいドン引きされていないかと気になりました(笑)

創作中は毎日、時間を決めて机に向かわれているのでしょうか?
また、ルーティーンなどありますか?

基本昼型で、午前中2時間、午後2時間くらい、時間を決めて書きます。最近ちょっと腰痛が気になっていますので、30分机に向ったら立ち上がって軽い運動と深呼吸をするよう心掛けています。

作品のアイディアなどは、どのような時に生まれるものでしょうか?

究極のインドア派ですのでニュースや新聞、映画や読んだ本などからアイディアをいただくことが多いでしょうか。あとはかつて自分が好きだったもの、今好きなものを引っ張り出して題材にし、想像を広げていくこともあります。

癒しのアイテムや気分転換の方法、またハマっていることなどがおありですか?

アイテムではないですが、癒してくれるのはやはり愛猫(名前はちゃちゃ・茶白ミックス・オス4歳)です。肩を揉んでくれるでもなく旗を振って応援してくれるわけでもないですが、もふもふっと触らせてもらえるだけでも元気が出てきます。あと最近はオルゴールの音色が気に入っていて、CDを聴きながら自律訓練をしています。心地よさにそのままうたたねしてしまうのが難点です。

最近読まれた小説・コミック・映画などでおすすめの作品はありますか?

BL、文芸書を問わず、おいしいごはんやスイーツが出てくる小説を、このところよく読んでいます。自分ではなかなか作れそうもないですが、読みながら想像しているだけでもお腹がいっぱいになり幸せな気持ちになりますね。グルメに加えて、ラブや謎解きがあるとさらに嬉しいです。

BLで萌えるシチュエーションやキャラクター設定を教えていただけますか?

自分ではあまり書いたことはないのですが、ライバルに萌えます。もともと少年マンガ系の二次創作が好きだったせいでしょうか。ライバル同士の恋は、私にとって永遠の萌えです。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

シンプルでわかりやすい文章になっているといいな、と思いつつ書いています。あと盛り上がるシーンでは、どんな表現なら読んでくださる方のお心に響くかな、と考えながら、祈りをこめて綴っています。何もかも、まだまだ修行中です。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

デビュー当時から基本はずっと変わらず、「つらい思いをしている人」が恋をして笑顔になる話を書いていきたいという気持ちがあります。胸の痛みや孤独を救ってくれるような、優しい恋をこれからも書き続けていきたいです。

読者様にメッセージをお願いします。

伊勢原ささらの書きたいものすべてを注ぎつくし、愛と情熱を込めまくった物語が『ピノと、彼の初戀』です。ピノとラウルの波乱万丈の恋を、皆様にも見守っていただけましたら幸いです。読み終わった後に、主人公二人とともに笑顔になっていただけましたらこれほど嬉しいことはありません。
長くなりましたが、最後にお伝えしたいのはやはりお礼です。皆様のおかげで、またこうして新しいお話をお届けすることができます。心から感謝の気持ちでいっぱいです! ありがとうございました。想いをこめて綴った大切な物語を、そしてぽん出版さんとコミコミスタジオさんを、引き続きよろしくお願いいたします!

ピノと、彼の初戀

著:伊勢原ささら
イラスト:yoco

ぽん出版/虹の色文庫

発売日:2023年11月07日

STORY

俺が惹かれてるのはおまえの心だ。

ピノは幼い男の子の姿をした木の人形。心と魂を持ち、話したり動いたりできる。突然姿を消した、父親代わりの天才人形師・パオロの帰りを1人で待っていた。
そんな中、パオロの元弟子だという男・ラウルが訪ねてくる。ピノは彼と共にパオロを探す旅に出ることに。
ラウルは、人形から魂を抜いて天へ送る「送りびと」。パオロのような才能がないという彼はどこか暗い影をまとっている。そんな彼に惹かれ、初めての感情に戸惑うピノ。
道中、同じくパオロと縁のあるアンジェロにも出会い、旅はパオロを中心に命・魂・愛を巡る物語へ……。

ラウルの苦しみは? ピノの一途な想い、そして人形としての運命とは?
切なく心揺さぶる「永遠の愛」のおとぎ話。

お試し読み一部公開!

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©️伊勢原ささら/yoco/ぽん出版

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