STORY
たとえ画家でなくても おまえの描く絵は、
俺にとって唯一無二なんだ
画家になる夢を諦め、デザイナーとして働いて早十年──。鬱屈した思いを抱え、誰にも見せない絵を趣味で描いている
出版社様コメント
キャラ文庫小説大賞第1回優秀賞受賞作!
ペンネームに由来がありましたら、教えてください
自分の好きな字・響き・意味などから考えて名付けました。考えつくまでにかなり悩みまして、友人に会うたび「好きな漢字教えて」とお願いして、発想のタネにしていました。多くのかたのご協力があってのこのペンネームです。本当に感謝です。
作品の内容について教えてください(どんな物語ですか?)
画家になる夢を諦め、デザイナーとして働く主人公の直樹。同窓会で、新進気鋭の画家であり、かつての親友である麻人と十年ぶりに再会し、彼から「一緒に二人展をしないか」と誘われます。直樹の絵に惚れ込んだ麻人の熱烈な言葉に、直樹は二人展に参加することを決心するけれど…?
画家と、画家になりそこなった凡人。愛情だけではない、様々な感情が絡み合った二人の想いの行方を、ぜひ見届けていただければ幸いです。
メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか?
二人とも芸術の道を選んだだけあって、けっこう変わり者だと思います。
受けの直樹は、気が強くてまっすぐなひとです。そのせいで周囲とぶつかってしまうこともありますが、それは直樹の裏表のなさ・誠実さのあらわれでもあります。
攻めの麻人は直樹と正反対の性格で、人あたり柔らかな紳士です。けれど、どことなく底のしれないミステリアスな雰囲気もあり、そのあたりに”天才画家”っぽさがあるかと思います。
主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
(名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです)
特に思い入れがあるのは、やはり主人公の直樹ですね。
とにかく強い受けを…!という私の癖から彼は生まれました。
本来は心に一本芯の通った強いひとなのですが、「人生ままならないよね」という悩みや苦しみを背負ってもらったので、皮肉屋で不愛想なキャラに…。麻人との再会を通して、本来の彼らしいまっすぐさ・強さを取り戻していくのですが、捻くれたキャラも好きなので、私個人としては、麻人と再会する前と後、どちらの直樹も好きだったりします。
「直樹」という名前は、その心根のまっすぐさを表したくてつけた名前です。
今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。
あまり言うとネタバレになってしまうのですが、物語の後半にちょっとした謎解き(?)があります。そこが物語の読みどころになっていたらいいなぁと思っています。
また個人的に好きなシーンは、絵画制作の息抜きに麻人が直樹を外へ連れ出す場面です。冬の海辺の冷たい風に吹かれて、芯から冷えた体を、あたたかなカフェで一休みさせる…冬の寒い季節だからこその、ほっとする時間を描くことができて、お気に入りのシーンです。
執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。
登場人物が芸術家ということで、美大を描いたシーンがいくつかあるのですが、私自身、実際に美大に通っていたので、自分の記憶をもとに書くことが多々ありました。
主人公たちが学生時代に絵画制作をしていたアトリエなどは、作中ではあまり詳しく描写されていませんが、私の頭の中では自分の通っていた美大のアトリエそのままです。懐かしいなあ、と思いながら書いていました。
デビューは「キャラ文庫小説大賞」入賞がきっかけだと思うのですが、入賞の連絡がきたときはどんな気持ちでしたか?
しばらくは信じられない気持ちでした。同時に、自分の書いた作品に、なにか人を惹きつける力があったのかな、と嬉しく思いました。嬉しすぎて家の中を跳ねながら歩いていたような気がします。
小説家を目指したきっかけやエピソードがあれば教えてください
きっかけは、趣味で書いていたBL小説の連載でした。自分が書きたくて書いた趣味100%のBL小説で、この連載が完結したとき、しみじみと「一つの物語を作り上げるのって楽しいな」と感じたのを覚えています。そのときの「もっと小説を書きたい」という衝動から、「小説家になりたい」という思いに繋がっていたたのかな、と思っています。
受賞までのこれまでの経歴(投稿歴など)について教えてください
ひとつ前の質問で話題に出た、趣味で書いていたBL小説が完結したのが2年前で、そのあとから公募への投稿をはじめました。公募への応募は、「キャラ文庫小説大賞」を含め四回で、ディアプラスBL小説大賞や、リンクス新人大賞にチャレンジしていました。
公募以外ですと、SNSで掌編を投稿したり、友人と合同誌を作ったり、楽しく活動しておりました。
受賞してからデビュー作刊行まで約1年半と伺いました。その期間の執筆作業で大変だったことや、新たな発見などがあれば教えてください
執筆中の大変な出来事や新たな発見は書ききれないほどあるのですが、実際に執筆してみて、ひとつ改めて気付いたことがあります。
「小説を書くには、無から一人以上の人間を作り上げなければならない」ということです。
存在しないキャラクターを存在させるために、彼らの心と記憶を私が組み上げなければならない…なんだか大それた仕事だなと恐縮しています。これからも、大事に丁寧に、大切なキャラクターたちを生み出していきたいです。
作品を書く上で大切にしていることはありますか?
まだまだ技術も未熟な身で、大切にしようと心掛けていることはいくつもあるのですが、「楽しむことを忘れない」という気持ちは一番大事にしていきたいです。もちろん苦しいこともたくさんあるのですが、いつかそれすら楽しめるようなマインドを持ちたいですね。
今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?
オメガバースやドムサブといった特殊設定にも興味がありますし、ファンタジーもいつか書いてみたいです。そしていつか、私の大好きなホラーやミステリー色を取り入れたBLを書けたら…!
読者様にメッセージをお願いします!
このたびは、本書をお手に取ってくださりありがとうございます!
デビュー前から応援してくださった方にも、初めて読んでくださった方にも、楽しんでいただける作品になっていたらいいな、と思っております。
天才画家に
なりそこなった友へ
徳間書店/キャラ文庫
発売日:2024年11月27日