『ご主人様の唯一の猫 ゴルトヴァルデの生贄』発売記念 壱師散子先生インタビュー&お試し読みページ

インタビュー

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

古語を調べたりすることが好きなのですが、姓名ともに素敵だなと思った古語から取りました。壱師は古語で彼岸花を意味するとされている植物です。「散」は「あかる」と読み、そこに語感をよくするため「子」で止めました。ですのでひらがなに直すと「いちしあかるこ」になります。

新作『ご主人様の唯一の猫 ゴルトヴァルデの生贄』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

ルビー文庫への応募作品について考えていたのがちょうど秋口のことで、落葉する銀杏を眺めていたときに「ここに可愛い美少年が立っていたら絵になるな~!」というところから考えました。そこから『ルビー』文庫ということで鉱石にまつわるネタなど、様々な要素を連想しながら構想を練っています。

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

プロットの方が多いです。しかし、最初からモチーフやキメとなるシーンが決まっている場合はタイトルが先行することもあります。

新作『ご主人様の唯一の猫 ゴルトヴァルデの生贄』は、どんな物語でしょうか?

健気な猫獣人の使用人・ユオラと、カーバンクル種であれば生まれながらに持っているはずの、生命維持装置となる魔石を持たない主のイグナートがすれ違いながらも結ばれるまでを描いた西洋ファンタジーです。
アイトシュタットとゴルトヴァルデという二つの国の境界に孤独に住むユオラは、両国の関係を悪化させないための『生贄』とされている存在です。
そんな中で、突如ゴルトヴァルデの領主であるイグナートと相手国の青年貴族の間に結婚話が持ち上がり、ユオラはその役目を終えることに。
どんな形であれイグナートの役に立ちたい、傍に居たいと願うユオラですが、イグナートは自分の世話など気にせず自由になってほしいと突き放します。
そんなユオラにイグナートの婚約者であるヴーレンが接触したことが転機となり、イグナートと魔石の秘密、ユオラの秘密、『ゴルトヴァルデの千変』と呼ばれるいずれ起こるとされる災厄について明らかになっていく、というようなお話です。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

受けであるユオラの健気さと、イグナートの執着です。特に、一時的にユオラと引き裂かれた際に我を失うシーンは書いていてとても楽しかったです。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。

主人公はどこか儚くて可愛い感じで黄葉の中に消えてしまいそうな子、攻めは常黄の世界に映える色味にしよう、と外見から決まった二人でした。
長髪美形をおかずにご飯を食べられる性質なので、今回はイグナートにその役を担ってもらっています。
ユオラという名前は、どこの国にも属さない響きをイメージして名付けています。イグナートの方は、彼のその深紅の瞳から、また火を吹く西洋の竜の血統から、「火」を意味する名をあてました。

メインカップルのご紹介と彼らを書く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

受けであるユオラには身寄りがなく、幼い頃にゴルトヴァルデ家に引き取られ、イグナートの遊び相手兼使用人として育ちました。ゴルトヴァルデ家に居候しているカーバンクル・レヌを師事し、イグナートの魔石を探すために奔走する、本当にイグナートが大切な健気な子です。
イグナート自身も、本来生まれ持つはずの魔石を持たない自身を落ちこぼれだと断じてコンプレックスに思っています。不遇だった幼少期、常に傍に居てくれたユオラが何よりも大切な彼ですが、自分に自信がないがゆえに、ここにユオラの幸せはないと勝手に思い込んでいます。
互いに互いが大事過ぎて一歩が踏み出せないじれったい主従です。そんな二人ですので、心理描写には気を遣いました。「それを全て口に出してしまえば全て解決するのに…!」というぐらいの二人の切ない感情が伝わるよう、常黄の森になぞらえた言葉選びや挿入するシーンなどこだわっています。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

一番苦労した点は、恋愛以外のシーンを書きすぎてしまう癖があるという点です。話作りの段階でも気を付けてはいるのですが、それでも気づくと無駄な情景描写が増えていたりと書き直したところも多々ありました。
楽しかった点は、二人のすれ違いの心理描写、それと妄想の中の異国を描写できたことです!
本編では使わない細部まで想像したり描写したりすることが好きなので…また、悲嘆に暮れる美形が好きなので、そういったシーンは特に楽しかったです。

お気に入りのキャラクターや書き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

ユオラやイグナートは、互いのことを考えて行動しすぎる、という意味で難しい子たちだったように思います。むしろ自分の利益を一に考えていた脇役たち、イグナートの親友兼ユオラの師であるレヌ、イグナートの婚約者であり感情が表に出やすいヴーレンは今回とても書きやすかったです。

創作中は毎日、時間を決めて机に向かわれているのでしょうか?
また、ルーティーンなどありますでしょうか?

よほど夜遅くまで予定があったりしたのではない限り、インプットを含めて1時間は作業にあてています。朝ならコーヒー、夕方以降であればカフェインレスな飲み物を淹れるのが儀式のようになっています。

作品のアイディアなどは、どのような時に生まれるものでしょうか?

他の創作物に触れたとき、実際に出先で目にした光景など様々です。思い着いたアイディアは一冊のノートにまとめているので、後でそこから引き出して使ったりもします。プロットや難しいシーンについて想像を膨らませる際には、ずっとうろうろ歩き回っています。

BLで萌えるシチュエーションやキャラクター設定を教えていただけますか?

話を練り出してふと気づいたら主従になってしまっている、というぐらい主従が好きです…!ツンデレを越えたツンギレや、最初はつんけんしていた片方が徐々に絆されて心を開いていく、というのも大好きです。…と色々考えてみたのですが、BLであれば全部美味しくいただけます(笑。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

当然のことなのですが、きちんと恋愛をメインに描くことです。気を抜くとすぐに謎解きやサブキャラの活躍に焦点を当ててしまうので…。
それにともない、難解かつ説明不足な話になりがちになるということも気を付けるよう、常に頭に置くようにしています。
他に、キャラクターの内面をできるだけ深く掘り下げることも、矛盾のない話作りをするうえで重要だなと感じています。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

架空のファンタジー世界が好きなので、天上の楽園のような国、鮮やかな花々の咲く密林、海の底に栄える国、閉ざされた凍土など、ありとあらゆる美しい土地にまつわる話を書いてみたいです!
今回は受け攻め共に朗らかなタイプでしたので、キャラの属性で言うと最初は他者に対して冷徹な攻めや、ツンツンしている受けがゆっくりと相手を必要としていく話もいいな~と思います。
オメガバースやセンチネルバースといった、運命だとか互いが必要不可欠な存在となるお話も挑戦してみたいです。

読者様にメッセージをお願いします。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
楽しんで書いたお話が、少しでも読者の皆様の心に響いてくださればそれ以上に嬉しいことはありません。
ユオラとイグナート、二人の行く末を、ぜひ最後までご覧いただけたらと思います。
常黄の世界を、じっくり楽しんでいただけますように!

ご主人様の唯一の猫
ゴルトヴァルデの生贄

著:壱師 散子
イラスト:高星 麻子

KADOKAWA(角川書店)/角川ルビー文庫

発売日:2023年年11月01日

STORY

第23回角川ルビー小説大賞 奨励賞受賞作家のデビュー作!

猫の種族であるケットシーのユオラは、ゴルトヴァルデ家の子息・イグナートに思いを寄せていた。
だが使用人としてでも側にいたいと願うユオラに、イグナートは貴族の子息・ヴーレンと婚約したことを告げる。
「生贄」と呼ばれ森に縛られてきたユオラは、イグナートの政略結婚によって役目を終えた。
すべてはユオラを自由にするためであったが、ユオラはイグナートが婚約者を愛していると誤解する。
そんな中、ヴーレンに呼び出され、自身の出生の秘密について詰問され…?

出版社様コメント

第23回角川ルビー小説大賞で奨励賞を受賞した壱師散子先生のデビュー作となります! 主人であるイグナートに思いを寄せるも、身分違いと諦めていたユオラ。そんなユオラを溺愛しているのに、同胞の元に帰すことがユオラの幸せなのだと解放しようとするイグナート。二人のすれ違いにじれじれしつつ、出生の秘密が絡む、主従執着ラブです!

お試し読み一部公開!

※画像右側をクリックすると次のページに移動します。

※画像右側をタップすると次のページに移動します。

この続きは文庫をチェック♪

特典情報

有償特典付商品

有償特典アクリルコースター

+

コミコミ特典SSペーパー

商品ページはこちら

※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

通常商品

コミコミ特典SSペーパー

商品ページはこちら

※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

©️Akaruko Ichishi

TOP