『不遇の王子と聖獣の寵愛』発売記念 貫井ひつじ先生特設ページ

帯入れ込みイメージ

インタビュー

新作『不遇の王子と聖獣の寵愛』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

 他人に対してあまり表情の変わらない青年の横に、目つきの鋭い男が寄り添っている姿が頭に浮かびました。青年に対してだけ男の顔が溶けるぐらい甘くなり、青年も男の前では表情をころころ変えてよく話していました。「この二人は、どんな関係で、どうして二人でいるんだろう?」と、その二人の背景を探っていった結果、完成したのが本作です。

新作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか? また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

 編集担当様と相談して決めました。
 新作の主人公は、生活に不自由していませんが、家族や他の人間関係に恵まれていないので、その点を全面に出したい気持ちはありました。

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

 プロットです。
 タイトルは付けるのが苦手です(苦笑)
 私の場合、まず映画予告のように物語がぎゅっと凝縮されたものが頭に映像で浮かぶので、それをあらすじに起こしたものを編集担当様にお渡ししています。それから、あらすじ→プロットにレベルアップさせるというお話の作り方をさせていただいています。
 時々、予告が面白すぎて勝手に作品を書き始めることもありますが(笑)

新作『不遇の王子と聖獣の寵愛』は、どんな物語でしょうか?

 「独り」と「独り」が二人になるお話です。
 編集担当様が素敵なあらすじを作ってくださったので、詳しくはそちらをどうぞ。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

 ネタバレせずに語らない自信がないので、ご勘弁を。
 今作を読み進めている中で「ここかー!」と思うシーンがございましたら、恐らくそこだと思います(笑)

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです。

 主要なキャラクターについては、前述した通り頭に自然と浮かびました。なので誕生した、というより「そこにいた」という感覚が強いです。
 主人公の名前については今作に限らず男女兼用出来るような、字に起こして読んだ時に柔らかい印象の名前を使うように意識しています。

メインカップルのご紹介と彼らを書く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

挿絵1

 フィンリィ・クレイド・フォーン(受け)
第一王子にして王位継承者であるにも関わらず、国中から冷遇されて暮らす青年。

挿絵1

 カイ(攻め)
人間に騙されて封印されていた聖獣。
十三歳の誕生日から、獣姿でフィンリィに寄り添う。

孤独を抱えている二人なので、互いの前でだけ晒す言葉や表情・感情を意識したつもりです。

メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか?

 フィンリィは、第三者(攻め以外)の前では無表情で冷静ですが、本来はとても温厚で繊細です。
 カイは、大ざっぱに見えて意外に強かです。
 性格は似ていませんが、根源的な寂しさを共有している二人です。
 カイが先に、そのことに気が付いて、恋に落ちたところが大きいです。「惚れた方が負け」ということで、フィンリィにベタ惚れですね。フィンリィは、まだ感情が育っていないところがあるので、これからゆっくり情緒を育てていって欲しいと思います。

各キャラクターの個性も読みどころの一つだと思います。
彼らのスタイルに、テーマやこだわりがありましたら、教えてください。

 鈴倉先生の素晴らしいイラストをご覧下さい! あれこそが今作の二人そのものです!
 一つだけ付け加えるのなら、フィンリィの前髪が長いのはわざとです。瞳を隠すために、わざと前髪を伸ばしています。理由は本編で、どうぞ。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

 今作に限らずなのですが、書いている時は色々と悩んだり迷ったりして苦労しているはずが、書き終えるとさっぱり忘れています。
 書くという行為が好きなので「たくさん書けて楽しかった!」という感情だけが残ります。そんなこともあり、あまり学習しません。
 今作も書けて楽しかったです。

お気に入りのキャラクターや書き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

 キャラクターたちは受けと攻めが浮かぶと、それに付随して頭の中に勝手に現れます。「こんな動きをするのか!?」と驚くことはありますが、動かしにくいキャラクターは、あまりいないと感じています。
 今回は犬の眷属の長が、思いがけず可愛い一面を見せてくれて、お気に入りのキャラクターです。

書き進めるうちにキャラクターやプロットに変化や発見がありましたか?

 「こんな人いたのか!?」という脇役が勝手に増えて、物語の大事なところに絡んだりすることは多々あります。なのでプロットよりもエピソードが長くなったりすることもしょっちゅう……。
 頭の中の予告編だと埋まらない物語の空白を、そのキャラクターが埋めてくれたりするので、「そういうことか!」と納得したり驚いたり、お話を書くといつも発見の連続です。

創作中のルーティーンなどありますでしょうか?

 お仕事としてお話を書く時は「書くぞ!」と意識しているので、集中して書き上げるようにしています。音楽を流すことが多いです。
 コーヒー(砂糖無し/ミルク時々)は必須です。

作品のアイディアなどは、どのような時に生まれるものでしょうか?

 日常生活のありとあらゆるところです。「この人はこう思っていたんだ」「きっと、こう言いたいんだろうな」「この人は、どうしてこんなことをしたのかな」「世の中に、こんなことがあるんだ」「今日はいい天気だな」「嬉しいな」「悲しいな」「楽しいな」と思っていると、いつの間にかそれが物語の形をとっているという感じです。お陰で人生が楽しいです(笑)

癒しのアイテムや気分転換の方法、またハマっていることなどがおありですか?

 気分転換にはヨガをしています。
 ハマっていることは……最近、檜の木を使用した入浴剤をいただくことがあり「良い香り!」と思ってから、自分の心地よい香りを探すことが好きです。田舎生まれの田舎育ちなので、木の香りに惹かれるようで、とても癒されています。

最近読まれた小説・コミック・映画などでおすすめの作品はありますか?

 普段、読む物はミステリーが多いです。
 若竹七海先生「パラダイス・ガーデンの喪失」(光文社/2021年)が個人的に非常に面白く、美しいミステリーだと思いました。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

 主人公を「何が何でも幸せにする!」という意気込みで書いています。攻めに対しては「私の方がこの子(受け)を幸せに出来るからな! この子が欲しかったら、まず私を倒してから行け!」と喧嘩を売る姿勢でいます。なので、私が書く攻めはどうしてもステータスが高くならざるを得ないという……。
 基本的に「幸せにしたい」という気持ちを原動力に書いているので、その気持ちが独り善がりにならないよう、主人公の気持ちを大切にしたいと思っています。 

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

 西洋ファンタジーを多く書いているので、和風物や現代物が書ければ面白いかなという気はしています。
 個人的に草花が好きなので、何か自分なりの設定を組み込んだファンタジーを書いてみたいなぁ、という気持ちはあります。

読者様にメッセージをお願いします。

 はじめまして、あるいはこんにちは。貫井ひつじです。
 前述の通り、いつも主人公を「幸せにする!」という気持ちで作品を書いています。読者様方が物語の登場人物の喜びや悲しみ、優しさや幸せを少しでも心に残して、物語の余韻に浸って下さればと思います。
 今作をお手に取って目を通していただければ幸いです。
 インタビューに最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

不遇の王子と
聖獣の寵愛

著:貫井ひつじ
ill.鈴倉 温

KADOKAWA(角川書店)/ルビー文庫

発売日:2023年09月01日

STORY

封印された聖獣×冷遇される第一王子
心を許した白銀の獣は美丈夫へと姿を変え…?

第一王子でありながら家族からも冷遇にされてきたフィンリィにとって、心を許せるのはカイと名付けた白銀の獣だけであった。
だがある時、聖獣が治める平和な土地を先祖が侵略し、力を奪い取ったことを知る。
美丈夫へと姿を変えたカイこそ、かつて先祖に封印された聖獣であり、突出した陽の気を持つフィンリィは知らず封印を解いていたのだ。
償いのためにも力を取り戻す手伝いをするフィンリィに対し、カイは「――離れたら、俺が生きていけない」とフィンリィを甘やかし…?

出版社様コメント

孤独な王子と聖獣が、寄り添い合って「家族」になる、貫井ひつじ先生らしい少し切なくて温かい物語。
なにより絶対にぶれない攻めの聖獣の溺愛が最高です!
ぜひお手に取って、お読みください。

お試し読み一部公開!

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特典情報

有償特典付商品

有償特典アクリルコースター

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既刊紹介

狼殿下と黒猫新妻の蜜月ill.芦原モカ

発売日:2023年04月01日

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©️Hitsuji Nukui, Hal Suzukura 2023

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