STORY
死者しか描けない妖精画家――
大人気シリーズ堂々の完結!!
生きた人間を描くと、筆を置いた瞬間その命を奪ってしまう──画家として、忌まわしい異能に目覚めてしまった水琴。
その謎を解く手がかりを求めて、水琴は恋人の泉里と故郷の桐ヶ島を訪れる。
ところがそこで、ひとり神隠しにあってしまい…!?
百年の時を遡り、飛ばされた明治時代──高祖母・琴音が生き、泉里と瓜二つの若き当主が治める村で、全ての謎が明かされる、シリーズ衝撃の最終巻!!
ペンネームに由来がありましたら、教えてください。
我が家のご先祖様の一人、関ケ原の合戦にも出陣していた宮尾次郎左衛門から苗字をお借りし、下の名前は家紋から取りました。
『悪食』シリーズは、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
前々から『冥府の食べ物を口にした者は、現世には帰れない』、いわゆる『黄泉戸喫(よもつへぐい)』に興味がありました。
日本の神話のイザナミとイザナギ、ギリシャ神話のペルセポネ、これだけ遠く交流も無かった国に同じ考えがあるのは面白いなと思っていたんですよね。
『悪食』の第一話はそういう興味から書いたお話でしたが、思いがけずシリーズ化して頂き、黄泉戸喫からは離れてしまいました。
でも根本には彼岸に旅立った者と此岸に生きる者の交流があると思っています。
『黎明 悪食5』は、どんな物語でしょうか? 最終巻に込めた思いなどもお聞かせください。
シリーズ最終巻ということで、ここまで張ってきた伏線全てを回収しつつ回帰するストーリーになりました。
まさかこんな結末になるとは、と、私だけでなく担当さんも驚かれていましたね。
六年かけて最終巻までたどり着けたのは、読者さんの応援あってこそですので、長い間お付き合い下さった読者さんへの感謝もこめました。
今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。
とある鳥の鳴き声を『いいからもう帰りなさい』と聞こえる、と作中で解釈しているのですが、登場するシーンによってこの意味ががらりと変わっていきます。
今回のテーマである『円環』にも通じるので、気に入っています。
主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。 (名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです)
メインキャラの一人であり攻めの奥槻泉里は、設定上非常に死にやすいキャラなので(その理由も五巻で明らかになります)、彼岸にちなんだ名前にしました。
『奥槻』は『奥津城』、すなわち墓所から、『泉里』は『泉下の里』、すなわちあの世から取っています。
逆に水琴は死者と近くありながら生命力に溢れたキャラにしたかったので、『胡桃沢』は破邪の力があるとされる桃の入った苗字、『水琴』は『命(みこと)』であり、妻を連れ戻すため冥界へ下ったギリシャ神話の竪琴の名手オルフェウスにもあやかりました。
オルフェウスは妻を連れ戻せませんでしたが、水琴にはぜひ泉里をぐいぐい引っ張っていって欲しいと願って。
メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか?
苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?
シリーズものなので、一冊でその事件についてはきちんと結末をつけつつ、全体の流れはつなげていく、というのが大変でもあり楽しくもありました。
シリーズでなければ味わえない醍醐味ですね。
BLを書く上で、ココが好き!コレは外せない!など特に意識されていることがありますか?
やはり『LOVE』が根幹にあるジャンルですので、どのような形であれ全てが愛につながっていくようなストーリーを心がけています。
そのせいで泉里のような、愛が重すぎる攻めばかりになってしまうのですが…。
執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。
『悪食』の第一話は雑誌に掲載して頂いた短編だったのですが、幸いにもご好評を頂き、シリーズ化しました。
二巻以降の設定はそれから慌てて決めたものです。我ながら上手く着地させられたなあと思います。
癒しのアイテムや気分転換の方法、またハマっていることなどがおありですか?
ドライブがてらパン屋さん巡りをしています。
お気に入りのラジオを聞きながら運転していると、不思議といいアイディアが浮かびます。
美味しいパンも手に入って一石二鳥ですね。
読者様にメッセージをお願いします。
第一話が2019年に掲載されてから六年、長い間お付き合い下さりありがとうございました!
こうして満足のいく形で最終巻を出して頂けたのは、皆様のおかげです。
一巻から通してお読み下さっている方には特に楽しんで頂ける内容になっておりますので、ぜひ過去を振り返りつつ、読み終えた後はまた一巻から読み返したいと思って頂けると嬉しいです。
また違うお話でもお目にかかれますように。
黎明 悪食5
徳間書店/キャラ文庫
発売日:2025年06月27日