『僕の好きなオカルト先生(と怪異くん)』発売記念 浅井あめ先生インタビューページ

インタビュー

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

この話を書いていた当時、喉にくる風邪をひいてしまって最寄りの薬局で売っていたのど飴を何種類か買ったのですが、そのなかで一番痛みを和らげてくれた商品の名前を1文字変えてペンネームにしました。

今回の賞に応募したいきさつを教えてください。

物語を書くということ自体が初めてだったので、最後まで書き終えることができたら賞に応募してみたいなと、漠然と思っていました。
ちょうど書き終わりそうな時期に角川ルビー小説大賞の締切があり、角川から出ている作品はBLもホラーもジャンルの枠にとらわれないものが多い印象があったので、挑戦するならここしかないと応募した次第です。

受賞のご連絡が来た時のお気持ちは?

本当にいいんですか?と思いました。ホラー要素がわりと強く、主人公とサブキャラクターとの関わりに焦点が当たる場面が多いという自覚があったので、評価していただけたことに嬉しさよりも驚きが勝りました。

今作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか? また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

タイトルは好きな曲からとりました。『僕の好きなオカルト先生』からオカルトをとると、元にした曲のタイトルと同じ読みになります。先生らしくない、いわゆる立派な大人じゃないけれど尊敬できる先生っていいですよね。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

気に入っているのは、物語の終盤で主人公の真琴が、自分たちを苦しめ続けていた人物に対してはっきり考えを言うシーンです。
自己主張が苦手という意識があった真琴が、わざと煽るような言葉を選んで懸命に相手の心を動かそうとする、オカルト先生と出会ってからの成長が描けた場面だと思っています。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです。

主人公の真琴は、ギリシア神話のオルフェウスをイメージして名前をつけました。好きな人のためならどんなに暗い場所にも躊躇わずに行く、一途で危なっかしい子なので。
オカルト先生こと小野瀬以知は、彼のルーツに深く関わってくるキャラクターと関連づけるためにどうしても名前を数字にしたくて、イチという読みから先に決めました。一や壱はアクティブな印象があって合わない気がしたので、以知という漢字にしたのですが、好奇心が強い小野瀬に似合っていて気に入っています。

メインカップルのご紹介と彼らを描く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

上京したばかりの大学生・有里真琴と、怪談師兼オカルト作家・小野瀬以知の9歳年の差があるカップルです。
小野瀬はダウナーな雰囲気と目を惹く容姿、珍しい職業の影響もあって掴みどころがなく感じられますが、根は真面目で誰に対しても基本的には優しいです。
そんなフラットな性格の小野瀬ですが、真琴に対しては最初から一際深い優しさを与えてきます。
真琴も小野瀬が好きで尽くすけれど、ある理由から自分の気持ちは絶対に伝えないと決意していて、見返りを求める気もありません。
両片思い、しかも小野瀬は恋心を自覚しないまま話が進んでいくものの、お互い相手が大切でたまらないことがダダ漏れの、仲良しな二人です。
年齢差があるため、年下の子を懐柔している感じがないか、年上の相手に寄りかかろうとしていないか、ちゃんとお互い尊重しあっているように見えるかという点にこだわりました。

各キャラクターの個性も読みどころの一つだと思います。
彼らのスタイルに、テーマやこだわりがありましたら、教えてください。

真琴は、小野瀬と会うまでは服装にも持ち物にもこだわりがない子でした。変に目立ちたくないという気持ちが強く、大学デビューもまったく考えないタイプです。
一方で小野瀬は基本的に気に入ったものしか身につけず、値段やブランド関係なく自分が惹かれるものしか買いません。実用性やメンテナンスのしやすさもあまり気にせず、買ったものは全部大切にします。
あと可愛いものが好きで、Tシャツから文房具まで動物柄のものを選びがちです。可愛すぎて自分には似合わない、けどデザインが好き!と思うものを真琴に着せたがります。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

ホラー展開が続く話ですが、不穏な空気はずっと出しつつも怖さを減らせるように試行錯誤しました。あくまでもホラー小説ではなくハッピーエンドの恋愛小説なので、話全体のトーンが暗く重くなり過ぎないように注意しました。
最初は三人称で書きはじめたものの、どうしてもホラー描写が重たくなってしまうため、真琴の一人称で書き直したという経緯があります。
結果として軽さも出せて、書きやすかったです。
ただ、真琴はまだ若く情報に触れる機会が限られた環境で育ったので、何に対して、どの程度の知識があるのかは探り探り書きました。

作品を描かれる際に、ここが好き!外せない!など特に意識されていることがありますか?

お互いどれだけ好きだと言い合ってイチャイチャしていても、話が合わなそうとか歯車が噛み合わない部分があると、くっついてもハッピーエンドに見えない気がするんです。ハッピー・エバー・アフターではないというか、今はよくてもそのうち別れそう、みたいな。
そのため、主人公カップルはちょっとしたやりとりや会話からも、波長が合う感じを出せるように心がけています。

執筆中のエピソードや裏話などがありましたら、お聞かせください。

行き詰まった時に少し変わった散歩をしようと思い、電車で降りたことがない駅に行き、駅からまっすぐ、行き止まりかT字路にぶつかるまで進もうと決めて歩いたことがあります。
まったく行き止まりにぶつからなくて、三時間近く歩きました。いつ引き返せるのかわからず、怖かったです。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

読者としての感想なのですが、女性が主人公の恋愛小説や漫画等だと、主人公に感情移入できるか、主人公と友達になりたいと思えるかが大切だと思うんです。
BLの場合はそこにプラスして、主人公カップルにはどちらも単体でキュンとさせる魅力があって欲しいと思っていて。
でも、それとは別に私には受けは誰よりも可愛くあれよ!という譲れない好みがあるため、可愛さだけに偏っていないか、読んでくださる方から見て応援したいだけではなくて、付き合いたいと思ってもらえるだけの魅力があるかを意識しています。すごく難しいのですが。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

真琴と小野瀬は性格の相性が非常によく、二人とも生産性のない争いを嫌うタイプだったので、真逆の喧嘩っプルを書きたいです。
あと人狼やデスゲーム(本当に死ぬわけではない)の要素があるもの、ダーク・ファンタジーに挑戦してみたいです。

読者様にメッセージをお願いします。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。インタビューを通して、『僕の好きなオカルト先生(と怪異くん)』に興味を持っていただけたらうれしく思います。
ミステリー要素が含まれるため、あまりストーリーについては触れませんでしたが、嫌な結末を迎える登場人物はいませんし、登場時に生きていたキャラクターは最後まで死にません。
主役も脇役も全員幸せにするつもりで書きました。
理不尽に人が死ぬからホラーは苦手、残酷描写がありそうで嫌、読後感が悪そうでホラーは避けてしまう、という方にもご一読いただけたらうれしいです。
もちろん、ホラーやオカルトが好き、好きとまではいかないけれど平気、という方にもお読みいただけたら幸いです。

僕のきな
オカルト先生
(と怪異くん)

著:浅井あめ
イラスト:夏乃あゆみ

KADOKAWA(角川書店)/角川ルビー文庫

発売日:2026年10月01日

STORY

謎のオカルト作家といきなり同居!? (しかも怪異つき!?) 

上京したての大学生・有里真琴は、ある日人気オカルト作家・小野瀬以知から住むアパートが火事になると不吉な予言をされる。予言通り火災で行き場をなくした真琴は、小野瀬が調査依頼を受けている物件に住み始めるが、そこで霊に遭遇したことから、小野瀬と同居することに!? 心霊現象やトラブルに巻き込まれつつも、年上なのにどこか甘やかしたくなる小野瀬に惹かれていく真琴。彼の孤独な過去、それが巻き起こす「怪異」を知るが、それ故に彼は人の好意が怖いと言い…?

特典情報

コミコミ特典書き下ろしSS小冊子

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※特典はなくなり次第終了となります。
※商品ページに記載がある特典はお付けします。

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