『獣によりて獣と化す』発売記念 水樹ミア先生インタビュー

獅子獣人の神官×只人の王族庶子

帯入れ込みイメージ

インタビュー

新作『獣によりて獣と化す』は、どんな物語でしょうか?

人間に獣の耳と尻尾がじわじわ生えていくお話です。ある日突然とかではなく、一冊通してじわじわ生えていきます。
獣人と只人の融和の象徴として、只人の王家から選ばれる斎宮候補が、獣人の神官から自分を獣に導く〈導き〉を選び、およそ一年にわたる儀式を行って獣の耳と尻尾を生やしていく、という設定が軸になっています。 〈導き〉の飲んだ秘薬の成分は〈導き〉の体液に混じる。〈導き〉は斎宮候補にその秘薬入りの体液を与えるのだ。秘薬は外気に触れるとすぐに効果を失うため、〈導き〉の体液は直接斎宮候補の身体の中に注ぎ込まねばならない。儀式が要は性交であることはユノですら知っている公然の秘密だ。 受けのユノは先王の庶子で自分が王族と知らずに暮らしてきたのですが、突然出生の秘密が明らかにされ、斎宮候補になってしまいます。秘密を明らかにしたのは、ユノの後見人で初恋の相手の獅子族のアルドで……というお話です。恋愛的には、両片想いすれ違いものになります。

タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

獣人によって人間が獣になっていく内容がそのままタイトルになっています。
変化していくニュアンスを出したかったので「化す」としてみました。

メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか?

今回、受けと攻めの体格差も年齢差も多め(当社比)です。
受けのユノは十八歳で、小柄な美人系です。性格は基本的には大人しいのですが、時々とても強さを見せます。目標と自立のために神官を目指して神学校に通っていたのですが、突然、先王の子だと明らかにされてしまい、斎宮候補として儀式を受けることになります。母を亡くした後、世話をしてくれたアルドに実らない恋をしてしまっていて……という切ない状況に陥っています。
攻めのアルドは獅子族の獣人で三十歳で、神官です。体格がとてもよくて、きらきらした外見をしています。感情の起伏や人の好悪があまりなく他人に一様に丁寧に接するため、一見、よくできた神官です。ただ、ユノに関してだけは内心穏やかではないようです(笑)。
ユノは最初からよく動いてくれたのですが、アルドはしばらく上手く動いてくれなくて困りました。なんでかなと思って色々考えてみたのですが、ここ最近、よくできた攻めばっかり書いていたことに気付きました。特にリブレさんの近刊はオメガバースのシリーズもの三作で、いずれの攻めも、言葉は惜しまない・態度も惜しまない・受けから求められるまでは我慢する、愛情表現がストレートな溺愛スパダリだったんですね。久しぶりの本心を口にできない攻め、理解できるまでに時間がかかりました。でも理解できた後は、この人こんなに拗らせてるんだなあと、頷きながら書けました。

メインカップルを描く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

プロット段階で、両片想いを前面に押し出そうということになったので、今回、攻め視点も結構入っています。両片想いのすれ違いということで、この態度で相手はこう誤解した、向こうは実はこういう意図だな、今攻めの理性がぶちっといった、というのを読んでくださる方に感じ取って楽しんでいただけたらいいなと思って頑張りました。

新作の読みどころやお好きなシーンを教えてください。

ユノの、片想いなのに好きな人に儀式で抱かれなければならないという心情部分はじっくり書き上げました。「儀式じゃなかったらよかったのに」
 鼻の下まで湯に沈んで、ユノは口の中で呟いた。
もしこれから起こることが、ユノの想いが叶って、晴れて恋人になってからのことなら、自分はどんな気持ちになっていただろう。不安だったかもしれない。でもきっと、嬉しくて嬉しくてたまらなかったはずなのだ。
この後、二人の初儀式となるわけですが、身体が繋がってもすれ違いは続きます。でもこのお話、溺愛ものでもあるんですよ。担当さんが「両片想いの溺愛BL」って表現してくれていて、「それだ!」と思いました。両片想いですが溺愛です。両片想いすれ違いですが、ちょいちょいラブラブです。

それからもう一つ。作中で、ユノが親友の兎族の獣人のイーサに質問するシーンがあります。「ねえ、イーサ。耳と尻尾ってどんな感じなの? そんなに長い耳、どうやって動かしてるの?」 ユノの台詞ですが、私の気持ちもそのままでした。私もケモミミと尻尾ないんですよね。この辺りからユノにだんだん耳と尻尾が生えていきますので、ユノが耳と尻尾に慣れていく様子を見守っていただけると嬉しいです。また、儀式によってどんな獣の耳と尻尾が生えてくるのかはわからないので、その辺りもわくわくしていただけたらいいなと思います。

執筆中のエピソードや裏話などはございますか?

いつも原稿旅行に行って「原稿するぞ!」と気持ちを切り替えて集中するのですが、今回は行けず……。家で窓辺のライティングを工夫したり、アロマランプをつけてみたり、色々な入浴剤を試してみたりと、思い付くままに気分転換を図ってみました。でもやっぱり原稿旅行が好きだなと思いました。

BLで萌えるシチュエーションやお好きなキャラクター設定をお聞かせください。

いっぱいあるのですが、人外はとても好きです。
今回、人外成分は獣の耳と尻尾だけと少なめなのですが、人外好きさん向け度はかなり高いのではないかと思います。この設定を気に入っていただけた方は同志だと思います。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

ファンタジーが好きで、単行本も異世界ファンタジーばかり出してもらっているのですが、商業誌のボーイズラブ小説である以上、恋愛の部分がまずありきということは意識しています。
それとも絡みますが、恋愛が主軸のファンタジーだからこそ冒頭はとっつきやすいものになるように工夫しています。今回はユノの幼い頃のお母さんとの会話で始まるのですが、最初の何行かは現代ものでもありえそうなシーンにしています。そこからお母さんに猫の耳が生えているので、獣人がいる世界だということがわかって、という感じで少しずつ世界に入っていただけるように構成しています。もちろんこれはケースバイケースで、がっつり冒頭からファンタジー感を出したければ逆に世界の説明を入れたりするのですが。

あとエロも毎回とても力を入れています。この二人ならではのものを書きたい、というのが、いつも課題です。今回、設定の都合上、回数が多いのですが、受け攻め両視点ありますし、だんだん成長していくユノの耳と尻尾というポイントもあったので書き甲斐があって楽しかったです。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

好きなものが幅広いので、機会があればいろいろ書けたらいいなと思います。幅広いというか、なんでもありです。

読者様にメッセージをお願いします。

ここまでお読みいただいてありがとうございます。正直、この設定は商業誌としてありなのだろうかととても不安なのですが、このインタビュー記事で気になられた方がいらっしゃいましたら、どうぞよろしくお願いします。
サマミヤアカザ先生のイラストがとにかく美麗で、アルドのきらきらぶりとユノの可愛さは言うまでもないのですが、本文イラストでユノの姿が徐々に変わっていくところが最高なので、イラストは是非見ていただきたいです……!
コミコミスタジオ様では特典ペーパー付きですが、本編の最後の方のエピソードになります。私の心の中のサブタイトルは、「見えてますけどね!(侍女談)」です。ハッピーエンド後の二人の関係性がよく出ているんじゃないかなと思いますので、よろしければコミコミスタジオ様でどうぞ!

獣によりて獣と化す

水樹ミア (イラスト:サマミヤアカザ)

リブレ/B-BOY NOVELS

発売日:2020年08月19日

獣によりて獣と化す

STORY

お前の〈導き〉は私だ。誰にも渡すものか……両片思いの溺愛BL!
<斎宮>に選ばれたユノは、獣人神官アルドの精を受け、身体を獣人に変化させなくてはならない運命で…!

前国王の庶子であるユノは、国を守る神子的存在<斎宮>に選ばれる。人間である<斎宮>は、選ばれた獣人神官とつがい、その精を受け、自らの身体を獣人に変化させなくてはならない。
つがう相手に選ばれた神官は、ユノが心ひそかに慕っていた男アルドで…!

特典情報

コミコミ特典水樹ミア先生書き下ろしペーパー

商品ページはこちら

©️水樹ミア・サマミヤアカザ/リブレ

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