『泣けない竜は愛を捧げる』発売記念 葵居ゆゆ先生特設ページ

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インタビュー

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

好きな色を苗字に入れ、下の名前は本名から一文字取り、繰り返しの名前(モモとかキキとか)に昔から憧れがあったので、このペンネームにしました。

新作『泣けない竜は愛を捧げる』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

もう何年も前ですが、好きな俳優さんが悪役を演じたとき、「この悪役さんは実はすごく寂しい人では?」と感じたのをきっかけに、「受または攻が悪役(嫌われ者)だったら」→「受が嫌われ者だったら」と考えていくうちに生まれました。

新作『泣けない竜は愛を捧げる』は、どんな物語でしょうか?

ファンタジー世界が舞台で、宝石が豊富に取れる「ガーネリア」という王国が舞台です。
受のルートヴィヒは、宝石を護るとされる竜で、人の姿にもなることができます。食料は宝石のみ、元は人々の畏怖と信仰の対象でしたが、今は災厄をもたらす迷惑な生き物として忌避されています。
攻のエリックは国内で唯一宝石が取れない場所に生まれ、家族の仇として竜族を憎んでいます。悪どい貴族や神官などから財産を盗み、庶民に配る義賊ですが、そういう自分をいいものとは思っていません。世の中を冷たい目で眺める皮肉っぽい面がある一方で、義理堅く、自分と同じような境遇の孤児には優しい面もあります。
そんな二人が出会い……というお話です!

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

ルートヴィヒとエリックの仲が少し縮まったあとに街を散歩するシーンがあって、そこは全体にお気に入りです。カラー口絵にもしていただきました。
ほかには、冒頭でひとり寝そべる竜のルートヴィヒや、宝石を食べるシーン、クライマックス近くのお祭りのシーン、受を看病する攻のシーンなどが好きです。挿絵になっているシーンもあります!

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです。

受攻の二人はほかの設問でお答えしているので、ほかのキャラクターのお話をしようかなと思います。
サブキャラクターその1。ルートヴィヒのお世話をする執事的存在のピピは、竜族の神秘の力で作られたと言われている機械人形です。yoco先生に可愛らしく描いていただいたので見ていただきたいです!
サブキャラクターその2。ガーネリア国の若き王、ベルナーは、有能なのに外見はあまり賢そうに見えないというキャラです。ある意味彼も捻くれてるんじゃないかなと思いつつ、エリックとは違う方向性を目指してみました。
サブキャラクターその3。孤児院を切り盛りする修道女のドーリスは、ルートヴィヒにとっては人間の優しい窓口、エリックにとっては数少ない弱点になっているキャラクターですが、「みんなの優しいおばあちゃん」みたいな雰囲気になって、書いていてほんわかしました。もう一人若いシスターが出てくるので、名前は彼女との対比で、ちょっと重ために感じるネーミングにしました。
サブキャラクターその4。孤児院の少年のキトはお話の展開に関わる大事なポジションです。強がりで偉そうな口をきく小さな男の子がすごく好きなので、キトもそんな感じになりました。

メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか?

「隠れ世話焼き攻」×「一途健気受」で、「復讐を望む者」×「贖罪を望む者」というカップリングです。

受のルートヴィヒは人間のことが大好きで、いつか友達がほしいなあ、伴侶は騎士様がいいなあ、と夢見る優しい性格。かつて竜は食料となる宝石を定期的に人間から奪ってきていたのですが、ルートヴィヒは洞窟から出たことはなく、先祖の蓄えで生きています。
淡い金色の髪に翠色の瞳で、外見も優しい感じです。
一応竜族の王子様なので、古風で強そうな名前をつけましたが、作中ではよく「ルート」と縮めて呼ばれます。

攻のエリックは、今は世を斜に構えて見るタイプですが、もともとは家族思いで面倒見のいい長男気質。
愛情をかたむける対象を亡くし、絶望と悲しみを原動力に生きてきた人です。
黒髪に灰色がかった青の瞳で、クール系の外見です。ルートヴィヒが暖色、エリックが寒色のイメージです。
名前は簡素で現代的にも聞こえる響きで、ルートヴィヒとの対比が名前でも感じられるといいなと思ってつけました。

ルートヴィヒは素直でわかりやすい性格ですが、エリックはめんどくさい人なので、「本当はこうなのに、拗らせてしまっているのでこんなふうに振る舞う」というような場面が多く、うまく本来の姿が伝わるといいなと思いながら書きました。わりとせつないカップルなので、そこも気に入っていただけるといいのですが……。

本作は、竜族と人間との物語ですが、異種族であるルートヴィヒとエリックを描くにあたり、特に意識された表現やお気に入りのシーンがありましたら、教えてください。

今回は、受視点と攻視点と、両方からお話が進みます。竜と人間の違いは細かいところでも感じていただけるように、たとえば宝石も、エリックならダイヤモンドとかサファイアと呼ぶけれど、ルートヴィヒは金剛石とか青玉と呼ぶ、と書き分けてあります。
体温や身体の仕組みの違いだったり、ルートヴィヒが宝石を食べるときはその味だったり、ルートヴィヒ視点でもエリック視点でも、お互いに違いを実感するシーンがいくつかあるので、ちょっとでも楽しんでいただけたらなと思います。

BLで萌えるシチュエーションやお好きなキャラクター設定をお聞かせください。

BL大好き人間なので、だいたいなんでも読むと「いい! 萌える!」と盛り上がってしまうのですが、書くたびに好きだなと実感するのは、執着攻と不幸な受です。
攻受どちらも、歪な部分や過剰なところ、逆に不足しているところがあると大変好物です。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

私が本を読んで「好きだな」と感じたときは、ささやかなシーンをいつまでも覚えていたりするので、自分の作品でも誰かがそうなってくれるといいなと、いつも思っています。
また、せっかく他人(登場人物)の人生の一部を味わう以上は、感情や五感で感じるものをキャラと同じく受け取れるように書きたいと思っているのですが、毎回試行錯誤です……。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

むずむずするような甘酸っぱいお話とか、ちょっと変わった構成のお話とか、どろっと濃厚で「二人の世界」なお話とか、逆にオープンで黄色が似合う雰囲気のお話とか、いろんな恋愛をいろんなかたちで書いてみたいです。

読者様にメッセージをお願いします。

『泣けない竜は愛を捧げる』の世界と二人の出会い、関係を、少しでも楽しんでいただければ嬉しいです!

泣けない竜は愛を捧げる

葵居ゆゆ
ill.yoco

白泉社

発売日:2022年06月03日

STORY

「僕のことは、エリックが殺してくださいね」
憎まれていると知りながらも、身を投げ出すことしか知らない一途な愛が胸を打つ。
復習の炎を燃やす義賊×孤独で無垢な竜の純愛ファンタジー!

「殺されるなら、あなたがいい―――」

竜族の最後の生き残りルートヴィヒは、いつか人間の伴侶を持ち、平和に生きることを夢見ながら、ガーネ山の洞窟で両親の残した宝石を糧に身を隠すように暮らしていた。
宝石の守り神であり、その体液はすべて宝石になる神秘の存在としてガーネリア国の信仰の対象だった竜族は、いつしかその神聖性を失い、大きな戦争を機に、厄介で滅ぶべき存在と思われるようになっていたからだ。
ところが絶対に人間に知られるはずがない神聖な竜の棲み処に、ある日見知らぬ男が現れる。
警戒心をもたないルートヴィヒは、人間と初めて出会えた喜びに舞い上がりもてなそうとするが、その男・エリックは対照的に、自分の家族を奪った竜族を憎んでいると言い放ち―――。

孤独で無垢な竜・ルートヴィヒの一途な恋の行方は!?

出版社様コメント

花丸レーベル初登場の葵居ゆゆ先生の本作は、切なく美しい恋物語を描いた書き下ろし長編ファンタジー!
体液が宝石となる神秘の存在として描かれる竜の存在が美しく、父が遺した宝石を食べながら孤独にひっそりと暮らす、竜族の最後の一人・ルートヴィヒに宿る、一途で無垢な魂に誰もが心を揺さぶられます。
そんなルートヴィヒを憎む義賊のエリックも、その心の奥底にはぬぐい切れない悲しみがある。
本作は、そんな二人が心を通わせるようになる過程をすみずみまで楽しんでいただけるボリュームとなっており、yoco先生の美しい挿画も作品世界に華を添えてくださっています。
四六判、2段組み、約280ページの恋物語、たっぷりとご堪能ください!

お試し読み一部公開!

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©️葵居ゆゆ・yoco/白泉社

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