『吸血鬼はベジタリアン(2)』発売記念 綺月陣先生特設ページ

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インタビュー

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

綺麗な月の下で陣を張る戦国武将をイメージしました。
よい緊張感をもって戦いに挑む姿勢を、名に込めております。
また、当時貪るように拝読していた富士見シリーズの作者・秋月こお先生への憧れから、勝手に月の字を拝借しました。

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

先にタイトル、続いてそれに相応しい物語(プロット)を膨らませる流れが多いかと思います。
逆の場合もありますが、個人的にはタイトル先行のほうがテーマも明確で、執筆時のブレが少ないように感じています。

新作『吸血鬼はベジタリアン(2)』は、どんな物語でしょうか?
シリーズ続編ですので、その辺りもチラリご紹介お願いします!

作中では年代を明記しておりませんが、18~19世紀中頃までの北欧をイメージしたヴァンパイア・ファンタジーです。
1巻では、幼くして両親を亡くしたトニーと孤独な吸血鬼ヴァンの関わりを軸に、閉ざされた環境で暮らす人間たちの業を描きましたが、今巻ではふたりと一頭の世界が外へ向かい、出会う人々も様変わりします。
このまま人間社会で生きてゆけると思われたヴァン・トニー・ラビ。でも些細な変調をきっかけに、まるで薄氷にヒビが入るかのように、じょじょに関係性が崩れはじめ……という展開です。
ふたりと1頭が一体どこへ行きつくのか、見届けていただければ幸いです。

今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。

創作サイドの皆さんが仰ることだとは思うのですが、なにもかもが読みどころで、すべてのシーンが愛おしいです。
最後までお読みいただいたとき、「さっきのシーンを再読したい」「もう一度あの人に会いたい」「あの場所に戻りたい」と思ってもらえたら、それが読者様にとっての読みどころかと。
何度も読み返したくなるシーンが、ひとつでも多く見つかりますように。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。
(名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです)

誕生秘話への回答としてはズレているかもしれませんが、私を憑依先に選んだ彼らが、自叙伝を書き残したような感覚です。
創ったキャラという手応えがなく、湧いてきたから書くしかないよね、といった感じです。
登場人物に名を与えず童話的に書いたものを原版としてKindleにて公開中ですが、文庫化にあたり、それをベースに物語を膨らませ、改めてキャラに名を用意しました。
名前の由来は、ヴァンはもちろんヴァンパイアから(笑)の引用です。
トニー以下、他の登場人物たちはノルウェーやフィンランド、スウェーデンの名前一覧を参考にしました。

苦労された点や楽しかった点はどんなところでしょうか?

苦労した点は「年代を明記せずに、その時代だと察してもらうにはどうすればいいか」でした。
あくまでファンタジーなので、史実を重ねられたくはない。でも、それなりに時代の雰囲気は感じてほしい。
私がイメージする年代にはどんな野菜があったのか、なかったのか。そこを時代表現の軸にしようと考え、野菜の発祥を調べました。
また、北欧に多い宗派やステンドグラスの歴史、神父と牧師の違いなども知らなかったため、とにかく検索、検索、検索地獄。
検索するたび、頭の中の物語が途切れそうになるので、検索中も物語の空間に浮遊し続ける集中力を維持するのが大変でした。
頭が混乱したときは、「ファンタジーだから!」で逃げましたので、なにか妙な点を見つけてもスルーしてください(笑)。
楽しかった点は、やはりヴァンとトニー、そしてラビの仲良しシーンを書いているときです。
彼らが楽しそうにしていると、私もとても楽しいので。
また、コミコミスタジオ様の特典をお読みくださった方は笑顔で賛同してくださると思うのですが、別の視点でヴァンとトニーを書けたのは楽しかった!
特典に登場する彼女は、きっと私たちの同志です(決して損はさせません。ぜひともコミコミ様で特典つきをお求めください)。

物語が進むにつれて、登場人物たちの関係性やそれぞれの性格も、変化や成長が感じられます。
綺月陣先生の中で、巻を重ねるうちにキャラクターやプロットに変化や発見がありましたか?

1巻を書き始めたころには、2巻のプロットを担当様に送っていました。
だからおそらく、2冊でひとつの物語という構成になっているかと。……もともとは1冊でまとめるつもりだったのですが、どうしても彼らに旅をさせたくなりました。
物語を書き進めるにつれ、変化があったのはキャラたちよりも私でしょうか。
彼らと離れたくない。ずっと彼らを見ていたい。一緒にいたい────。早くラストの景色が見たいのに終わるのがイヤで、途中まったく進まなくなり、同じ箇所を何度も書いたり消したりしていました。
一箇所だけプロットと異なるシーンがあります。そこはトニーがあらぬ方向へ動いてしまい、ガラリと予定が変わりました。
作中で生きるキャラの意志を代弁代筆するのが私の役目ですので、トニーを追いかけるようにして書き進めました。
そして、亜樹良のりかず先生の描くラストの挿絵。担当様にプロットを提出したときには、すでにその場面が私の頭の中に映像として焼きついておりましたので、あとはヴァンとトニーとラビに、その場所へ連れていってもらうだけでした。
結果的にトニーは、そこへ辿りついてくれました。途中プロットから外れましたが、大満足です。

お気に入りのキャラクターや描き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

思いどおりにならないキャラは過去にはたくさん存在しますが、今作は全員とても素直でした(笑)。
ひと組だけ挙げるなら、1巻のパン屋の夫婦が書きやすかった。放っておいても一方的に喋って、自由に動いてくれました。一番筆が乗ったシーンだったかもしれません。2巻では……誰かな。酒場のロイかな? 私の脳内にヒョコッと現れたときには、風貌も仕草も話し方も声も、アニメのようにスムーズでした。

あとがきにある「黒いBL童話」にとても興味があります。具体的にどういった題材で執筆してみたい!などありましたら教えてください。

昔からグリム童話が大好きなのです。子供向けのハッピーエンドも大人向けの残酷エンドも、どれも好き。
ハーメルンの笛吹き男、ヘンゼルとグレーテル、ラプンツェルなどなどをBLもしくは耽美な世界観で書けたら……と思うだけでワクワクします。そう、読みたいのではなく、書きたいのです。
執筆時間がなかなかとれないまま現在に至っておりますが、グリムBLはすでに存在していると知り、それなら私は日本の民話か? と先日Twitterで立候補したばかりでした。
姥捨て山ならぬ、稚児捨て山。三枚の御札、○○なし芳一などを題材に、背中がぞわぞわする恐怖やら、湿気たっぷりのおぞましさやら、人間のもつ残酷な部分にBL的な愛憎を絡めて、夜伽話風に。
体力と気力と集中力が残っているうちになんとかしたいのですが、商業として成立しないと生活に支障が出るため、同人もしくは余生で、少しずつ書き進められたらと思っています。
いつか願いが叶ったら、コミコミ様の同人部に置いてください(笑)。

癒しのアイテムや気分転換の方法、または効果的な息抜き方法などがおありですか?

どれほどメンタルがボロボロの状態でも、犬の指示(天啓とも言う)に従うこと。
夜には「寝るぞ」と寝室行きを促され、朝には「起きろ」と前脚で頭を引っかかれ、食後は「トイレ行くぞ」と散歩をせがまれる。
私の気分転換と息抜きは、犬によって操られております。いまのところ効果的です。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

大切にしているのは、締切を守ること。
万が一にも納期をオーバーしそうなときは、担当様が余裕をもって調整できる期間内に連絡を入れるよう気をつけています。
当たり前のことだけれど、その当たり前を忘れそうになる瞬間もあるから、つねに大切なポジジョンとして掲げています。
心がけているのは、同じ表現を多用しないこと。
たとえば「憤慨した」を多用していると感じたら、類義語や言い換えで検索して「激しい剣幕」や「腹を立てた」などに置き換えるなど。また、いままでに使ったことのない言葉をあえて選び、語彙を増やすよう心がけています。
意識していることは、視覚的に読みやすい単語の配置。
平仮名ばかりが続かないよう、漢字同士がくっつかないよう、単語の輪郭が浮かびあがるような文字組みを意識しています。
言うほどできているかどうかはしらんけど。……おっと。
言うほど出来ているかどうかは、知らんけど。
こんなふうに句読点を打ち、なおかつ漢字を要所要所に差しこむだけで、「知らんけど」の効果がアップしますよね。知らんけど。

読者様にメッセージをお願いします。

カバーラフを拝見したとき、あまりの美しさに心震え、亜樹良先生にこう伝えました。
「書店で購入してくれる読者様も、レジへ持っていくとき、きっと大事に扱ってくれると思う」と。
「私だったら、そーっと手にして胸に押し抱く」と。
この感動を読者様と分かちあえる日が、やっと来ました。
「吸血鬼はベジタリアン」を知らなかった人も、今回のインタビュー記事で気に留めていただければ嬉しく思います。
書店でも通販でも、この本を目にし、手にするとき、優しく迎えていただければ幸いです。
プロット、執筆、イラスト、校正、装丁デザイン、印刷……他にももっとたくさんの人たちと関わり、お世話になり、長い長い旅を経て、皆様のもとへ辿りつこうとしております。
どうか、ヴァンとトニーとラビを温かく迎えてやってください。
「吸血鬼はベジタリアン2」と過ごす時間が、あなたの宝となりますように。

吸血鬼は
ベジタリアン(2)

綺月陣
ill.亜樹良のりかず

ぽん出版/アモール文庫

発売日:2023年05月01日

STORY

村を出て5年。ヴァンから血と体液を注がれて吸血鬼と化したトニーは、これまでにない自由な日々を謳歌していた。だが体に異変が生じ、その原因を探るべく、ヴァンやラビとともに両親の故郷へ向かう。
唯一の手がかりである素描を頼りに訪れた教会で、両親の過去を知る牧師に会い、雪山の畑に埋まっていた骨の正体と衝撃の真実が明らかに。
残酷な運命に、互いを傷つけあうヴァンとトニー。苦悩するふたりを嘲笑うかのごとくトニーに魔の手が襲いかかるが、それは同時にヴァンをも破滅に追い込んでゆく――。
永遠の愛と絆が交錯する、ダークロマンス完結編!

お試し読み一部公開!

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特典情報

有償特典

有償特典A5アクリルボード

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※商品ページに記載がある特典はお付けします。

通常特典

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1巻も好評発売中!

©️綺月陣/ぽん出版

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