STORY
高校時代につらい経験をした希央はトラウマを抱えて大人になり、社会人になっても勤めは続けられず唯一の肉親である祖父も亡くしてしまう。そんなとき、無理して参加した飲み会で憧れだった先輩の高瀬と再会した希央は、悪酔いの介抱をしてもらったうえ、なぜか彼と同居することに。労るように優しく、時に甘やかしてくれる高瀬に傾く気持ちを止められない希央。しかし高瀬には大学時代からの恋人がいて…。ひとつ屋根の下で育まれる恋物語。
新作『大好き、一緒に住もうよ』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
久しぶりに特殊設定のない現代ものが書きたくなり、普通な二人だからこその「もだもだ」や「きゅん」を味わっていただけたらな……と思って生まれました。受のキャラの特徴は、こんな子も可愛いなと、ずいぶん前に原型ができていたのですが、今回攻さんとカップルを作ってあげられてよかったです。
創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?
基本的には内容から思いつきますが、たまにタイトルからということもあります。
新作『大好き、一緒に住もうよ』は、どんな物語でしょうか?
両片思い・同居のお話ということでドキドキ…します!
高校時代のできごとでトラウマがある受が、大学では恋愛しないぞと決めて進学するのですが、そこで攻と出会います。攻には恋人だと噂の人がいて、受は心の中で彼にときめくだけで満足していたのですが、卒業後、祖父の死をきっかけに、攻が受の家に押しかけて同居することになって……というお話です。傷を抱えていて不器用な面もある、でも人に対して優しい受を、攻がそばにいて癒してあげていくので、読者さんにも幸せな気持ちになっていただけたら嬉しいです。
今作の読みどころやお好きなシーンのご紹介をお願いします。
イラストにもしていただいたのですが、受の希央が攻の高瀬の下の名前を呼ぶところが気に入っています。あと、大学時代のエピソードはどれも楽しく書きました。 読みどころは、恋愛に恐怖感のある希央を、高瀬が上手におつきあいへともっていくところ……かなと思います!
メインカップルのご紹介と彼らを書く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?
ほかの質問でもちょっと答えてしまいましたが、受の希央はトラウマのせいで恋愛に対して積極的になれない子です。気遣いができる優しい性格で、自分のことより他人を優先しがち。あわあわすると気遣うあまりしゃべりすぎてあとで落ち込んだりします。攻の高瀬は器用でなんでもスマートにこなすタイプ。みんなに好かれていて、見た目もいいのでモテます。友達思いで人の世話を焼くのが好き。二人とも、物語の主役ではありますが、過剰にならず、隣町に住んでいそうなキャラになったらいいなと思って細部を決めました。
お気に入りのキャラクターや書き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?
メインのキャラはいつもたいてい苦労するのですが、今回高瀬先輩は比較的動かしやすかった気がします。サブキャラクターのほうが気楽な分楽しいなと思うことがあって、今回も希央の友人たちはいとおしく感じました。
最近読まれた小説・コミック・映画などでおすすめの作品はありますか?
半年ほど前の公開なのですが、「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」がよかったです。可愛らしい猫の絵とキービジュアルにつられるとびっくりするような内容なのですが、愛の美しさ、ままならなさ、哀しみと救いとがぎゅっとつまった一作だと思います。機会があれはぜひ!
今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?
くるおしいほど誰かを思うキャラクターが出てくるお話とか、読んでいてもだもだ、にやにやしてしまうような恋愛のお話とか、チャレンジしてみたいと思っています。
読者様にメッセージをお願いします。
がっつり肉料理も、フルコースのお料理もいいけれど、たまにはほっとするような、慣れ親しんだごはんも食べたいな、というときに、今回のお話を読んでいただけたらなと思っています。優しくて幸せな恋で、みなさまにもハッピーをお届けできれば幸いです。
大好き、
一緒に住もうよ
二見書房/シャレード文庫
発売日:2023年05月24日