『白虎と政略結婚』発売記念 櫛野ゆい先生インタビュー

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インタビュー

ペンネームに由来がありましたら、教えてください。

本名のローマ字を組み替えています。
某名前を言ってはいけないあの人と同じやり方で付けました。

新作『白虎と政略結婚』は、どんな物語でしょうか?

大正時代風の世界観のファンタジーで、世間知らずの受けが名家の獣人と政略結婚させられるお話です。
幼い頃に予知能力があった受けの琥珀は、自分の能力が目当ての縁談だろうと思っていますが、すでにその能力を失ってしまっています。
そうとは知らず優しく接してくれる攻めの高彪に惹かれてしまい、真実を打ち明けられずに苦しむ……、という恋物語です。

挿絵1

『白虎と政略結婚』はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

担当さんからのリクエストです。
政略結婚というキーワードをいただいて考えました。
政略結婚ものだったらどんなものが読みたいだろう、と王道なお話を目指してみました。

挿絵2

創作に入られる際、タイトルとプロットは、どちらを先にお決めになりますか?

いつもプロットが先です。
タイトルは、プロットの段階でなんとなく仮で付けたものがそのまま採用になるか、発売直前までなかなか決まらず、担当さんとうんうん唸っているかのどちらかです。

新作のタイトルは、どのようにお決めになりましたか?
また、タイトルに込めた思いがおありでしたらお聞かせください。

今回のタイトルはプロットの時点では『白虎と政略恋愛結婚』でした。
担当さんと相談して、間に恋愛を挟むと「政略結婚」の印象が薄くなるかもということで、恋愛を取りました。
甘々な印象がなくなってしまうのではとご相談した際、担当さんから「大丈夫です、櫛野さんの作品というだけで甘々ということは皆さんもう知ってるので!」と太鼓判を押していただいたのがとても嬉しかったです。甘々です!

挿絵3

メインキャラクターは、どんな二人(攻めと受け)ですか?

受けの琥珀は、幼い頃からずっと義父に軟禁されており、外の世界をほとんど知りません。
妹思いで優しく、真面目で芯の強い子です。
攻めの高彪は白虎の獣人で、穏やかで誠実な性格です。
帝に仕える四神の一族の当主で、一途で思いやりがあり、情に篤い人です。

主要なキャラクターの誕生秘話やキャラ設定への思い入れなどをお聞かせください。名前の由来なども、お聞かせいただけますと嬉しいです

攻めの高彪は、結婚したい男一位になりそうな人を目指しました。
政略結婚の相手が最高の旦那様っていいなと思ったのと、これまで大変な目に遭ってきた琥珀を絶対に幸せにしてくれる攻めがいいなと思ったので。
名前はいつもそのキャラクターの両親になったつもりで、どんな人になってほしいか考えながら付けるのですが、琥珀はご両親にとってきっと宝物のような存在だっただろうなと思い、宝石から付けました。
高彪は家柄もあって虎という漢字が入っている名前がいいなと思って決めた名前です。
結果的に二人とも虎が入ることになり、最初は少し出来過ぎかなと迷ったのですが、でもぴったりな名前じゃないかなと思っています。
ちなみに四神の白虎が司っている季節が秋なので、脇キャラの名前は秋の草花から取っていたりします。

メインカップル二人を描く上で、大切にされたことや、こだわられたことがありますか?

獣人などの異種族との恋愛がテーマの時には、種族の違いに対する戸惑いや、その戸惑いが解ける気持ちの変化、異種族だからこその魅力が伝わるように書くことを大切にしています。
今回はその上で、政略結婚から始まる関係でもギスギスした雰囲気ではなく、甘く優しい雰囲気のお話になるように心がけて書きました。
自分に優しく接してくれる獣人の高彪に戸惑ったり、外の世界を知って初めて見聞きするものにわくわくする琥珀の気持ちも大切に書いたので、楽しんでいただけたら嬉しいです。

挿絵4

新作の読みどころやお好きなシーンを教えてください。

高彪の家を守護する神獣として、白虎の仔虎たちが登場するのですが、彼らもとても重要なキャラクターなので、是非注目して読んでいただけたらなと思います。
好きなシーンは琥珀が初めて高彪の屋敷に行った時のシーンです。
屋敷で働く四人組の掛け合いは書けば書くほどコミカルになっていくので、とても楽しかったです。

物語が進むにつれて、登場人物たちの関係性やそれぞれの性格も、変化や成長が感じられます。先生の中で、書き進めていくうちにキャラクターやプロットに変化や発見がありましたか?

どの作品を書く時も主人公の成長は心がけて書いているのですが、本作は特に外の世界をほとんど知らない主人公だったので、彼の世界が広がっていく過程を大事に書きました。
攻めの高彪を始めとした周囲の人々と関わっていく中で、大きく成長してくれたのではないかなと思います。

お気に入りのキャラクターや描き(動かし)やすい、または思い通りにならないなど、キャラクターで違いがありますか?

お気に入りのキャラは高彪の屋敷で働いている四人組で、特に茜ちゃんと桔梗さんという女中さんは楽しく書きました。
描きやすいキャラは、実は一番自由人な琥珀の義兄、祐一郎だったりします。
そもそも思い通りにしようと思っていないので、やりたい放題やってもらって、私はそれを描写しているだけという感じです。
こういう癖の強いキャラの方が案外サラッと台詞が出てきたりします。

執筆中のエピソードや裏話などはございますか?

今回はなんといっても笹原先生のイラストが素晴らしくて、ラフなどいただく度にうっとり見入っていました。
特に表紙はカラーのパターンを3種類もご提案いただいてしまい、どれも素敵で担当さんと一緒に「選べない……」と頭を抱えてしまいました。
挿し絵もとても完成度の高いイラストばかりなので、是非お手にとってご覧いただけたら嬉しいです。
あとは、GW後の発売ということで著者校などの締め切りがとてもタイトで、ちょっと天に召されそうでした。

気分転換やリフレッシュの方法、癒しのアイテムなど、教えてください。

集中型なのでいったん集中に入ると途中で気分転換をするということがあまりないのですが、文章がうまく出てこない時などはゆっくりお風呂に入るといい台詞が思い浮かんだりします。
癒しの最強アイテムは実家の猫様なのですが、最近はなかなか実家に帰れずもふもふが足りない日々を送っています……。

BLで萌えるシチュエーションやお好きなキャラクター設定をお聞かせください。

わりと守備範囲が広く、特に地雷などもないので軽率になんにでも萌えています。
自分で書いていて鉄板で萌えるのは、攻めが受けのために欲望を堪えたり、本能と理性の間で苦しんだりするシチュです。
攻めが受けのことをどれだけ深く愛しているのかを書くのは、言葉を尽くしても足りないなと毎回思っています。

作品を書かれる上で大切にされていることや心がけておられること、意識しておられることはありますか?

常に意識していることは、読みやすく、楽しい作品作りです。
どんな言葉を使ってどんな表現をしたら心地よく読んでもらえるか、伝わりやすいかということは必ず念頭に置いています。
あとは読後感のよさも大切にしています。
読み終えた時に、少しでも幸せな気持ちになってもらえたらなと思うので。

今後の作品でチャレンジしたいテーマやモチーフはありますか?

歴史ものを書くのが好きなので、攻めと対等に戦える男前な受けを書いてみたいです。
あとは今まで書いたことのない人外攻め、鳥人や人魚なども書いてみたいなと思っています。
お布団シーンを書くのも好きなので、頭を空っぽにして読めるような、ひたすらピンク色なお話も書いてみたいです。

読者様にメッセージをお願いします。

こんにちは、櫛野ゆいです。
今作は白虎の獣人との政略結婚から始まる恋物語です。
獣人のお話はこれまでいくつか出させていただいていますが、今までとは異なる世界観のお話になります。
不遇な目に遭ってきた健気な受けが、優しい攻めの甘やかされて一途に愛されて、最後は自分の力で幸せを掴む、とても王道なお話ですので、ひとときでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
是非よろしくお願いいたします。

白虎と政略結婚

櫛野ゆい
(イラスト:笹原亜美)

リブレ

発売日:2021年05月19日

白虎と政略結婚

STORY

妻を守るのは夫の務めだ。君の身も心も、俺が守る!
獣人×政略結婚、溺愛保証付き

「結婚したからではなく、一人の男として君に愛されたいんだ」
予知能力を持つ琥珀は政略結婚で、男なのに嫁として嫁がなければならなくなる。
夫となるのは四神の血を引く白秋家の当主・高彪。帝の信頼も篤い精悍な軍人。
きっとこの能力を望まれての結婚だろう――だが実は、琥珀はすでに能力を失っていた。
強欲な義父から妹を守るために真実を言えず、罪悪感で苦しい琥珀。
彼の手を高彪は包むように優しく握り締める。
さらに高彪は暴漢から琥珀を守るため、白虎の獣人に姿を変え…!

©️櫛野ゆい・笹原亜美/リブレ

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